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景気循環論から出てきた1つの仮説

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」に寄稿しました。
今回のタイトルは『景気循環論から出てきた1つの仮説』で、直近執筆した『大阪経済をめぐる詐欺的論考?(by 高橋洋一氏)』や『ウォーレン・バフェットをめぐる既視感と景気循環論』を題材にしています。

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以下では今回の記事を掲載しています。


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【島倉原】景気循環論から出てきた1つの仮説

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

おはようございます。
案の定といいますか、2015年7-9月期GDPは2四半期連続のマイナス成長でした。
増加した民間消費も相変わらず消費税増税後の低空飛行レベルですし、こちらの記事で指摘した民間設備投資のマイナスが、過剰在庫の縮小と共にインパクトを強めています。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/10/22/shimakura-35/
他方で、原油、金属、穀物などの国際商品相場の動向を示すCRB指数が先週末、新興国景気の弱さを反映して13年ぶりの安値をつけています。

そういえば、今週末はいよいよ大阪ダブル選挙ですね。
実は今回、火曜日の午前中までは取り立ててその件を話題にするつもりはありませんでした。
ところが、かの高橋洋一氏が、『データで読み解く橋下府政』『GDPは「橋下以後」がマシ』『失業率は橋下以後で大きく改善!』などと称する、「オヤ?」と思いたくなる論稿を現代ビジネス上で発表されました。
それを受けて、(高橋氏の言を借りれば)「その6、7割に反論する分析」を下記のとおり急遽まとめましたので、ご紹介しようと思って取り上げた次第です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-123.html

分析結果のポイントは2つ。
GDPについては、「橋下府政前後で有意な差は見られない」というのがせいぜいのところに、「作成基準の異なる過去のGDP統計」を不自然に連結することによって、「橋下以後」を実態以上によく見せたグラフが作成されています。
失業率については、「『失業率の低下』は、実は『就業者数の増加』という前向きな要因だけではなく、『失業者が就職活動をあきらめた』という後ろ向きな要因によっても生じることがある」という現実があるにもかかわらず、「橋下以後の失業率の相対的な低下」だけをことさらに取り上げ、「改善」と評しています(拙稿でも示しているとおり、今回の現象はどちらかと言えば後ろ向きな要因によって生じているのが実態です)。
いずれも、自分の結論を導き出すための意図的な操作だとしたら、「詐欺」と指摘されても仕方がない内容です。

にもかかわらず、橋下大阪市長は「これが客観的な検証というものだろう」と称して、早速ツイッターで高橋氏の論稿を拡散しているようです。
「対抗してデマを『霧散』させよう!!」と思われた方には、拡散用として、「客観的な検証グラフ」付きのこちらのツイートをおススメしておきます。
https://twitter.com/sima9ra/status/666629481407213568

なお、あえて10割反論しなかったのは、「3、4割は正しい」と認めたからではありません。
そこまで踏み込んでこの手の詭弁に付き合い過ぎると精神衛生上良くない気がして、「まあ、これで十分だろう」と思った、それだけの理由です(笑)。
それにしても、こうしたことがあると、(高橋氏もそのスタッフの1人だった)小泉政権に象徴される「構造改革路線」の成果なるものが、同様な(詐欺的?)手法で粉飾されてまかり通っているところに、今の日本の経済や社会の不幸があるのだなあ、とつくづく思わざるをえません。

というわけで何の脈絡もなく、今回のお題は、ウォーレン・バフェットというアメリカ人の話題からスタートします。
バフェット氏はアメリカの投資持株会社バークシャー・ハザウェイの経営者で、同社を通じた株式投資によって一代で財を成し、雑誌「フォーブス」が毎年発表する世界長者番付の最新版で世界第3位にランクされている大富豪です。
http://forbesjapan.com/articles/detail/2488

バフェット氏の投資スタイルは、経営に優れ、長期的な成長も見込める会社の株式に対して、割安なタイミングで集中的に資金を投じるというもの。
しかも、短期的な利益を追わず、投資先の経営にほとんど口を出すこともなく、「永久」に近い長期間にわたって株式を保有し続けるのが原則です。
例えば、アメリカのダウ平均株価が1日で20%を超えて暴落した、1987年のブラック・マンデーの後に行ったコカコーラ株への投資などが有名です。
そのスタイルは、短期的な利益を追い求め、時として強引あるいは不公正な手法を用いる「ウォール街の住人」や「アクティビスト投資家(かつての「村上ファンド」などなど)」のそれとは対照的で、かのケインズが実践したスタイルに通じるとも言われています。
http://amzn.to/1H22V43
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私自身、真似することはなかなか難しいものの、投資家のみならずビジネスマンとしてのバフェット氏の言動に対して、十数年来敬意を払いつつ注目してきました。
残念なことにバフェット氏自身の著書は存在しないものの、バークシャー・ハザウェイの年次報告書に掲載される株主宛てメッセージ(したがって文章自体はバフェット氏によるもの)を編集したもの、あるいは他者の手になる業績解説本や伝記などは存在します。
無条件に全てを礼賛するつもりはありませんが、株式投資に縁のない方にとっても、「アメリカ型資本主義の真っ当な側面」に触れるという意味で、少なからず参考になるのではないかと思います。
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そのバフェット氏が2011年以降、日本でもおなじみの大手IT企業であるIBMの株式に対して多額の投資を行っています。
「『理解できない事業には投資しない』というポリシーのもとで長年避けてきたハイテク企業向けの投資である」「絶妙なタイミングでの投資実行に定評のあったバフェット氏が4年たった今も含み損を抱えている」という2点で意外といえば意外なものです。
私自身も関心を持ち、先月には『ウォーレン・バフェットはなぜIBM株を買い続けるのか』という論稿を執筆し、バフェット氏のIBM株投資の合理性について考察してみました。
http://foomii.com/00092/2015102500000029405

その後もIBMの業績あるいはバフェット氏のIBM株投資に関する、総じてネガティブな報道が続いています。
それらを眺めているうちに、ある種の既視感、いわゆるデジャブに襲われました。
そうして今週執筆したのが、『ウォーレン・バフェットをめぐる既視感と景気循環論』という論稿です。
http://foomii.com/00092/2015111500100029792

この記事はタイトルにもあるとおり、バフェット氏のIBM株投資をめぐる動向を単なる一投資家のエピソードとして捉えるのではなく、「内生的景気循環論」という見地からマクロ経済的な現象として分析したものです。
そこから導き出されるのは、

「1990年代末のITバブルに似た現象が、そう遠くない将来に起こることが予想される」

という1つの仮説です。
ここでの「そう遠くない将来」の意味はさしあたり、「概ね3年以内のある時期」としておきます。
「より具体的な発生時期はいつ頃か」「なぜそういった仮説が導き出されるのか」「どういったプロセスを経て発生するのか」などに関心をお持ちの方は、是非上記の記事をご覧ください。

人民元切り下げから先週のフランスでのテロ勃発など、世界の経済や株式市場が不安定化している中、こうした楽観的にも見える仮説には、多くの方が違和感を覚えるかもしれません。
あるいは、私が昨年来唱えてきた「新たな新興国危機の到来リスク」と矛盾するのでは・・・という印象を持たれる方もおられるかもしれません(実際のところは、本稿も上記論稿も「両仮説は矛盾しない」という前提で執筆しています)。

もちろん、今回述べたことは内生的景気循環論から導き出した、あくまでも1つの仮説です。
しかも、仮説とはいえ実現しなかった場合のことも考えれば、こうした形で公言することは、一個人としてあまり得策ではないような気もします。
さはさりながら、「内生的景気循環論」という非主流派経済理論の実験として、読者の皆様には是非その「証人」になっていただきたいと考え、ぼんやりとした表現ながらも今回こうした仮説をオープンにした次第です。
果たしてどうなりますことやら・・・。

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景気循環論からは離れ、フランスで勃発したテロが金融市場に与える影響にご関心がある方には、ひょっとするとこちらが参考になるかもしれません。
http://foomii.com/00092/2015110800100029665

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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