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グローバリズムはいつか来た道?

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」に寄稿しました。
今回のタイトルは『グローバリズムはいつか来た道?』で、拙稿『「貿易依存度」から見た世界史』を題材に、19世紀の第1次グローバル化時代を振り返りつつ、現代の日本にとっての歴史の教訓を論じています。

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以下では今回の記事を掲載しています。


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【島倉原】グローバリズムはいつか来た道?

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

前々回、拙稿『「貿易依存度」から考える経済政策とTPP』を話題として取り上げました。
これは、あたかもグローバル化への対応度を示すものとして、好ましいかのように議論されがちな「貿易依存度(=輸出入の合計額÷GDP)の上昇」が、むしろ国内の経済運営が上手くいっていない状況を示すものですらある(いまだ続いている日本の「失われた20年」がその典型)、という内容です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

本メルマガの読者なら多くの方々がご存知かもしれませんが、現代に負けず劣らず、経済のグローバル化が進んだ時期がありました。
19世紀後半から第1次世界大戦直前までのこの時期は、「第1次グローバル化時代」とも呼ばれています。

ではこの第1次グローバル化時代、あるいはその前後の貿易依存度はどうなっていたのでしょう?
というわけで様々な統計書をひっくり返し、日・米・英・独・仏の5カ国について、最大1820年まで貿易依存度の推移をさかのぼってみたのが、こちらのグラフです。
http://on.fb.me/1PM6WN1
https://twitter.com/sima9ra/status/669174796727377921

残念ながら、1959年以前の「世界全体の貿易依存度」を示すデータは発見できておりません。
さはさりながら、19世紀の覇権国であったイギリスなどの貿易依存度の推移を見ると、第1次グローバル化時代が終焉した第1次世界大戦のあたりが転換点になっています。
すなわち、世界全体も含めて、「貿易依存度=グローバル化の指標」という構図は19世紀当時から成り立っていたと言えそうです。
そうした想定と、上記論稿で述べた「貿易依存度の上昇とは定義上、国内で完結する経済活動よりも国際的な経済活動の成長率が高いという、どちらかと言えば国民にとっては不幸な状況を意味するものでしかない」という知見も踏まえて上記グラフも含めた各種データの解釈を試み、様々な歴史の教訓を引き出してみたのがこちらの論稿、題して『「貿易依存度」から見た世界史』です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-126.html

現代のグローバリズムが新自由主義なら、19世紀のグローバリズムは帝国主義で、その行きついた先が2つの世界大戦。
現代のグローバリズムと一線を画して高度成長を達成したのが1990年代前半までの日本なら、19世紀のグローバリズムと一線を画して着実に国力を蓄えていたのが、意外や意外、現代のグローバリズムの旗手であるアメリカ(その後の覇権国交代の史実からすれば、何ら意外ではないかもしれませんが)。
かのケインズが『一般理論』で行った提言にも通じる、「(積極財政に基づいた)『非グローバリズム=内需拡大路線』こそが繁栄と平和への道」という一貫した歴史の教訓を、こうしたデータから読み取ることができそうです。

では、戦前の日本はどうだったのでしょうか。
実は当時の貿易依存度の推移から、日本が第1次グローバル化時代はいうまでもなく、その終焉後もなおグローバリズム路線を突っ走っていたことが読み取れます。
それはすなわち、満州事変以降の対中戦争、そしてその後の対米戦争も、自らのグローバリズム路線が招いた側面が強いことを裏づけるものです。
日本人としてあまり愉快な結論ではないかもしれませんし、その果ての総力戦体制が戦後の非グローバリズム路線につながっている側面もあったりしてややこしいのですが、それもまた歴史の教訓として真正面から受け止め、正当な評価をすべきではないかと思います。

なお、フランスのテロなどで中東情勢が一段ときな臭くなっている昨今の状況なども踏まえ、こうしたグローバル化に関する知見と共に経済の長期サイクルの観点も交え、今後の世界情勢について別途展望してみました。
題して、『現在はどのような歴史的局面にあるのか』。
ご興味のある方はこちらもご覧になってみて下さい。
http://foomii.com/00092/2015112200245129921

では翻って、現代の日本はどういった状況にあるのでしょう。
国内経済の建て直しとなるべき積極財政はそっちのけで、グローバリズム路線がますます強まっていることは、本メルマガでも折に触れて述べられているとおりです。
そして、「アベノミクスは上手くいっている」と強弁し、現行路線を推し進めるためでしょうか、実態から目を背けた言説が後を絶ちません。
先週の家計調査、労働力調査という2つの統計の結果をめぐる政府やマスコミの反応も、そうしたトレンドを象徴しているかのようでした。

家計調査については本メルマガでも三橋貴明さんが取り上げておられますが、2人以上世帯の実質消費が前年比マイナス2.4%と、日本経済の決して順調とは言えない状況を示しています。
ところが、三橋さんも紹介されているように、「良い状況が整いながら、いまひとつ将来に対する消費者の自信が持てないところ」というのが甘利経財相の見方。
消費の不振は消費税増税で国民の実質所得が減った当然の結果、という三橋さんの見方とはまるで対照的です。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/11/28/mitsuhashi-323/
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27HBX_X21C15A1000000/

そもそも甘利大臣が言われる「良い状況」とは何か。
恐らくは、上記の記事でも「改善」と評されている「完全失業率の低下」を指すものと思われます。
下記の記事によれば、人手不足などを背景に20年3カ月ぶり、すなわち長期デフレ不況以前の水準まで低下しています。
http://www.nikkei.com/article/DGXKASFS27H14_X21C15A1MM0000/

この完全失業率、労働力調査で測定される完全失業者数を分子、労働力人口を分母として算出される指標です。
完全失業者の比率が減っているのだから良い状況に決まっている、なのにどういうわけか…というのが甘利大臣の言わんとするところでしょう。

ところが!!
前回、「『失業率の低下』は、『失業者が就職活動をあきらめた』という後ろ向きな要因によっても生じることがある」という事実を、橋下・松井大阪府政の評価に関する議論に際して紹介しました。
実は、完全失業率の低下が必ずしも経済の改善を示すとは限らないパターンは、それ以外にもいくつか存在するのです。

さらに、上記の記事のように、現在の完全失業率を決して近くはない過去のそれと単純に比較することは、景気認識に対する大いなる誤解をもたらしかねません。
これまた、社会の長期的な変化を踏まえれば、極めて常識的な議論のはずです。

こうした観点を取り入れて同じデータを適切に分析すれば、マスコミ報道や政府見解とは全く異なる日本経済の実態、そして上記のような見解の相違が生じる理由が見えてきます。
では、今回の労働力調査の結果から経済の実態をどう読み解くべきなのか。
データの成り立ちにまでさかのぼり、詳しく解説したのがこちら、『消費の改善につながらない雇用の実態』になります。
http://foomii.com/00092/2015112901194730050

リーマン・ショック以降、世界各国でグローバリズムに対する疑問の声が高まり、一部では政治的な変化の兆候も見られます。
にもかかわらず日本政府は、相も変わらずグローバリズム路線を突き進もうとしているかのようです。
こうした現状が、「いつか来た道」ではないことを祈るばかりです。

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↓日本経済の停滞は、金融緩和の不足ではなく緊縮財政と共に始まっていることを示すグラフです。
https://twitter.com/sima9ra/status/669165227120824320
http://on.fb.me/1LxuFJ6
↓「経済成長率が高い国ほど、財政支出を積極的に拡大している」ことを単純明快に示すグラフです。
https://twitter.com/sima9ra/status/669166143022612480
http://on.fb.me/1Nbx4P9

非グローバリズム路線の柱でもある積極財政がなぜ日本に必要なのか。あまたのデータと主流派経済学に代わる世界観を提示しつつ、包括的に論じた一冊です。
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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