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グローバリゼーションの再定義

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メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に、『グローバリゼーションの再定義』というタイトルで寄稿しました。
今週発行した『商品相場の歴史的サイクルとグローバリゼーション』で述べた、商品価格高騰、世界的な貿易拡大、国際紛争拡大の密接なかかわりを踏まえ、「『グローバリゼーション』という現象の定義に貿易拡大だけでなく国際紛争拡大も含め、その是非や望ましい政策のあり方について考えるべきではないか」という問題提起をしています。

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を掲載しています。

【島倉原】グローバリゼーションの再定義

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

先週は、アメリカの利上げによる金融環境の逼迫を懸念するニューヨーク連銀総裁の発言をきっかけにドル安が進みました。
結果として、海外要因とはいえ、黒田日銀総裁が「中央銀行の歴史の中でおそらく最も強力な枠組みだ」と豪語したまさしくその当日に、マイナス金利導入の効果が一晩で吹き飛び、今週に入っても円高が続いているというわけです。
http://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKCN0VC2PK
http://www.nikkei.com/article/DGKKASGF03H09_T00C16A2MM0000/

今回のマイナス金利政策についてはいろいろと論点もあることですし、改めて話題にしたいと思います。
理論的なことを1つだけ言うならば、「マネタリーベースを増やせば貸出が増えて、経済は活性化するはずだ」と言って、岩田規久男・現日銀副総裁が『日銀理論』なるものを批判した20数年前に逆戻りした・・・といった感じでしょうか。
だとすれば、その顛末がどういうことになるかは、こちらをお読みいただければ大体予想がつくのではないかと思います。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-49.html

そもそも、「金利にせよ、マネタリーベースにせよ、積極財政なき金融緩和をいくら繰り返したところで大した効果がない」ことは、既にこちらのデータから明らかだと思うのですが・・・。
https://twitter.com/sima9ra/status/669165227120824320
http://on.fb.me/1LxuFJ6

まあ、金融政策の話はこの辺にして、本日のお題「グローバリゼーションの再定義」に移りましょう。
このところ原油価格や海運レートの暴落が著しいですが、世界貿易の拡大すなわちグローバリゼーションのペースが急激に落ち込んでいることが、その背景にあると指摘されています。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96151490V10C16A1000000/

そもそも、「グローバリゼーション」とは何でしょう?
例えばこちらのWebサイトでは、「人、カネ、モノが国民国家の枠組みを超えて活発に移動し、各国経済の開放と、世界の産業、文化、経済市場の統合が進む現象をいう。文化的、商業的、経済的活動の分野において特に用いられることが多い」と述べられています。
http://bit.ly/1Qm9HzQ

上記サイトにもあるように、特に経済的な視点から、「自国産業が脅かされたり、貧富の格差が拡大するといったデメリットもあるかもしれないけど、世界がつながるのは間違いなくメリットだよね。自由貿易をすれば全体の利益が最大化するって、経済学者も言ってるし」というのが、「グローバリゼーション」という言葉に対する一般的なイメージであり、議論の前提にもなっているのではないかと思います。

ですが、世界がつながるのは果たして「間違いなくメリット」なのでしょうか?
以前、本メルマガでもご紹介した『「貿易依存度」から見た世界史』という拙稿では、以下のように述べています。


『第一次世界大戦は言うまでもなく、敗戦国ドイツへの法外な賠償金の賦課など、第一次世界大戦の戦後処理を帝国主義の発想で行ったことを背景に生じた第二次世界大戦もまた、帝国主義という名のグローバリズムがもたらした出来事、すなわちグローバル化時代の産物と言うべきです。
(中略)
こうした構図は、「各国あるいは個々の経済主体が国外に経済成長の機会を求めてグローバル化を推進すれば、経済的な利害が衝突して国際的な摩擦が生じる機会が増える」と考えれば理解できます。』
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-126.html


外交の一手段でもあり、(通常は国同士が)正面から衝突する戦争は、間違いなく「世界がつながる行為」の1つです。
これもまたグローバリゼーションの一環だとすれば、「世界がつながるのは間違いなくメリット」とは言えないはずです。

こう書くと、「でも、19世紀後半からの第1次グローバル化時代は第1次世界大戦で途切れたというくらいだから、経済的な交流(貿易の拡大)と戦争とは、そもそも別物でしょう?」と反論されるかもしれません。
しかるに歴史的な現実のもとでは、貿易の拡大は、2つの世界大戦をはじめとした大規模な紛争とむしろ一体となって、リズミカルに繰り返されているのです。
それも、従前から紹介しているクズネッツ循環(不動産バブルなどのサイクル)よりもさらに周期の長い、「商品相場のスーパーサイクル」とも呼ばれる景気循環のもとで。
直近で言えば、1バレル140ドルを超えた原油高、BRICsブーム、イラク=アフガン戦争の2000年代がその上昇局面にあたります。

そうした分析を19世紀、あるいはそれ以前までさかのぼって行ったのが、今週発行した拙稿『商品相場の歴史的サイクルとグローバリゼーション』です。
裏づけとなる分析データやスーパーサイクルのメカニズム、あるいは分析結果から想定される今後の金融市場の見通しなどについてはそちらをご覧いただくとして、ここではグローバリゼーションに関して考察した部分を、一部改定の上引用しておきたいと思います。


『1960年代以前のスーパーサイクルのピークは、それぞれ2つの世界大戦が終了した直後の時期に当たる。

前回も示した1960年以降の世界全体の貿易依存度の推移は下記の通りである。
それより前の動向については、(少なくとも現時点の筆者にとって)必ずしも明らかではない。
https://twitter.com/sima9ra/status/659023272797802496
http://on.fb.me/1Gvkd9q

さはさりながら、イギリスをはじめとしたヨーロッパ主要国の統計を見る限り、2つの世界大戦が終焉した直後のそれぞれの時期において、商品価格と共に世界全体の貿易依存度もその当時のピークに達していたと想定される。
これは、戦争によって貿易が一時的に途絶えると共に膨大な消費によって物資が不足していたところに、失われた各国の生産力の回復とそれを支える貿易が、終戦と共に急激に復活したことで生じたと考えられる。
https://twitter.com/sima9ra/status/669174796727377921
http://on.fb.me/1PM6WN1

このように、「グローバリゼーション=世界全体の貿易依存度の拡大」と考えれば、戦争とグローバリゼーションとは、一見すると対極的な現象である。
「グローバリゼーションによって国際交流が深まれば、戦争のリスクは軽減する」というありがちな議論も、そうした事実を反映したものであろう。

しかしながら、戦争もまた、ある意味では国際交流の究極の形である。
国際紛争の原因となるのは国境をまたがる何らかの利害の対立だが、そうした対立は国際交流が無ければ生まれるはずもない。
それを踏まえて、グローバリゼーションという概念を貿易の拡大などの狭い意味だけにとどめるのではなく、「国際紛争の拡大も含めた広い意味での国際交流の拡大」と定義し直すべきではないだろうか。
そうすれば、「商品のスーパーサイクル=グローバリゼーションのサイクル」という、より一貫性のある新たな視座を獲得することができる。

新たな視座のもとでは、1970年代や2000年代の2つのスーパーサイクルにおいて、中東を中心とした長期的な紛争が発生した事実とも整合性の取れた分析や解釈が可能になる。
そこからはむしろ、「グローバリゼーションとは国際紛争をエスカレートさせるメカニズムである」という命題が、ある種の論理的な結論として導き出される。
だとすれば、単に商品相場の動向のみならず、経済全体あるいは世界史を分析する上でも、広義の「グローバリゼーション」という概念こそが、むしろ用いられるべきではないだろうか。』
http://foomii.com/00092/2016020709485831385


グローバリゼーションの1つのサイクルが既にピークアウトしているにもかかわらず、日本の貿易依存度は未だに上昇を続けています。
そして、TPPに代表されるさらなるグローバリズム的な政策が、時の政権によって推進されようとしています。
これを景気循環論的に見れば、第1次世界大戦を経て第1次グローバル化時代が終焉した後もグローバリズム路線を突き進んだ戦前日本の姿とだぶることは、『「貿易依存度」から見た世界史』でも指摘したとおりです。
その顛末が中国への戦線拡大、そして第2次世界大戦での敗北であったことは、言うまでもありません。
ひょっとすると、数十年後の日本が国際紛争の渦中にいることを阻止するためには、これ以上のグローバリズム路線に歯止めをかけるべく、既に何らかの行動が必要なタイミングなのかもしれないのです。

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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