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マイナス金利政策の弊害

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メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に、「マイナス金利政策の弊害」というタイトルで寄稿しました。
リフレ派金融政策の破たん」のいわば続編として、マイナス金利政策も含めた過剰な金融緩和の問題点、特に、民間金融機関の収益を圧迫し、ひいては民間経済全体の足を引っ張るメカニズムについて説明しています。

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以下では今回の記事を掲載しています。
【島倉原】マイナス金利政策の弊害

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

おはようございます。
本日は前回予告(?)したとおり、マイナス金利政策を取り上げたいと思います。
なお、マイナス金利政策については、先週発表されたGDP統計の論評も含めて詳しく解説した「リフレ派金融政策の破たん」という論稿を別途まとめましたので、後ほどご覧になってみて下さい。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-146.html

一言で言って、マイナス金利政策、あるいは過剰な金融緩和は、理論、そして予想される効果の両面において、大きな問題点をはらんでいます。
そもそもマイナス金利政策とは、いみじくも黒田日銀総裁自身も述べているとおり、「お金を借りる、あるいは預かる側がお金の使用料である利息を徴収することはありえない」という常識的な一線、すなわち「金利のゼロ制約」を踏み越えた政策です。
その結果、マイナス金利の日銀当座預金を抱えた民間金融機関が貸出その他の資金運用に駆り立てられ、家計や一般企業の資金調達コストが下がり、経済全体が活性化することを期待しています。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/ko160203a.htm/#p0501

ところが、金利のコントロールを手段とするという意味では、実はこの政策、中央銀行の伝統的な金融政策の延長線上に属します。
伝統的な金融政策とは、岩田規久男・現日銀副総裁を筆頭とするリフレ派が20年来、「日銀がマネタリーベース拡大を目標としないことがデフレの原因」「金利を重視するのは時代遅れの『日銀理論』」とレッテルを貼り、散々批判してきたものです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-49.html

つまり、「異次元金融緩和」なるものが思うように効果を発揮しない中で、事実上リフレ派が白旗を掲げたに等しいのが、今回のマイナス金利政策導入なのです。
それを「これまでの中央銀行の歴史の中で、おそらく最も強力な枠組みです」とは・・・。これぞまさしく「リフレ派金融政策の破たん」を示しているばかりか、同稿でも述べたとおり、「盗人猛々しい」とも言うべき状況です。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/ko160203a.htm/#p0503

さて、このマイナス金利政策、これまでの金融緩和以上に効果が乏しいというのが常識的かつ論理的な結論です。
実は黒田総裁自身、ご本人にその意識があるかどうかは別として、そのことを事実上認めています。
それは、下記で引用したニュース記事にある「個人預金の金利がマイナスになることは考えられない」という総裁発言を「政策金利をマイナスにしたところで、民間経済レベルでは『金利のゼロ制約』を越えられない」と読み替えてみれば、自ずとご理解いただけるでしょう。
https://twitter.com/sima9ra/status/701242088415858688

そもそも、上記の拙ツイートでも述べているとおり、金融緩和とは本質的に民間金融機関の収益を圧迫する政策なのです。
金利引き下げにせよマネタリーベース拡大にせよ、中央銀行による国債などの購入を通じて達成されます。
ゆえに、そこには「中央銀行が民間金融機関の資金運用競争に参入し、競争圧力を高める」という側面が伴い、いわば資金供給側でのクラウディング・アウトが生じています。

なお、こうした構図が成立するようになったのは、日銀が金融市場を通じたオペレーションを重視するようになった1970年代以降の話です。
「公定歩合」と呼ばれる政策金利に基づく民間金融機関への貸出が、日銀からの資金供給のかなりの部分を占めていた1960年代頃までは、金融緩和は民間金融機関の収益圧迫ではなく、紛れもなくその経営を安定化させる政策であったと言えるでしょう。
現代においても、リーマン・ショックからユーロ危機に至る時期にかけては例外的に日銀貸出の比率が急増し、金融市場の安定化に貢献しました。

というわけで、少なくとも現代では、「不況の時には、効果が乏しい金融緩和もやらないよりはマシ」という議論は、実は大抵の場合成立しないことになります。
なぜなら、経済全体の所得が拡大しない中で民間金融機関の収益を圧迫すれば、彼らの経営が不安定化するか、収益圧迫の分が何らかの形で家計や一般企業に転嫁されるか、いずれにしても経済全体にとってはマイナスだからです。

例えば、マイナス金利を先行して導入しているスイスでは、住宅ローン金利が逆に上昇するという事態が生じています。
また、ある市場関係者から聞いた話なのですが、実はマイナス金利政策導入が決まった直後の日本でも、国債に買いが集中してその金利が低下した反面、企業が発行する社債などは売り圧力が強まり、むしろ金利が上昇したそうです。
http://jp.reuters.com/article/ecb-negative-column-idJPKBN0TL0A720151202?sp=true

すなわち金融緩和とは、経済全体の所得と共に、金融機関の収益も拡大するという前提があってはじめて正当化される政策なのです。
全くと言っていいほど経済成長が実現せず、デフレ不況に苦しんできた1990年代後半以降の日本経済においては、度重なる金融緩和によって、民間経済は全体として圧迫されてきたということになります。
https://twitter.com/sima9ra/status/700718824329318401
http://on.fb.me/1oPwhdQ

その意味では、急激な変化こそ好ましくないとしても、マイナス金利政策はもちろんのこと、異次元金融緩和なるものもできるだけ速やかに解消することこそ、日本経済にとっては本来望ましい政策でしょう。
なお、これは「金融引き締めをすればするほど経済が良くなる」と言っているわけではありませんので、念のため。
バケツが満杯の時には、運べる水の量を増やそうとしてそれ以上水を入れても意味はなく、かえって周りが水浸しになるだけですから、まずは蛇口を止め、さらには水浸しになった周囲の後始末をすべきです。
だからといって、既に入っている水まで捨ててしまう必要は、無論ありません。

日本経済にとって必要なのは言うまでもなく、民間経済の所得拡大をもたらし、新たな投資や消費の意欲を喚起する、財政支出の拡大すなわち積極財政です。
上記の例えをなぞるならば、バケツの数を増やす、あるいはもっと容量の大きなバケツを用意して、周囲にあふれた一部も含め、水をより有効活用する行為にあたります。

積極財政は、金融緩和によって最大の恩恵をこうむっている政府が、しわ寄せを受けた民間部門に対してその果実を還元するという意味でも、筋の通ったまっとうな政策と言えるでしょう。
拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』でも述べているとおり、過剰な金融緩和に依存したアベノミクスに代わる、積極財政を柱とした新たな政策ビジョンが求められているのです。
http://amzn.to/1HF6UyO


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〈『島倉原の経済分析室』より〉
今回の拙稿に対しては、「金融緩和には円安にして輸出を促進する効果があったではないか」という疑問を抱いた方もおられるかもしれません。
それに対して、「円高はそもそも日本の長期不況の原因ではない」というのが上記『積極財政宣言』の回答ですが、それよりは少し短期的な観点から、「2012年以降の円安トレンド自体はグローバル経済のメカニズムによってもたらされたもので、異次元金融緩和は投機的な変動を増幅したものに過ぎない」という回答も存在します。
その論拠に興味を持たれた方は、是非こちら「続・ドル円相場の行方」をご覧ください。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-139.html

今週号のタイトルは「株式市場の先行きをどう見るか」です。
以前ご紹介した「岩田日銀副総裁の不吉なジンクス?」が日本株の天井を考察したのに対し、同じく市場の内部要因を踏まえつつ、今回は底値のメドについて考察しています。
併せて是非ご活用ください。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-147.html
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-136.html

先週号のタイトルは「ドイツ銀行株急落の背後にある金融市場の病理」です。
直近のドイツ銀行株急落を引き起こした直接的なメカニズム、ひいてはその背後にある金融システムの問題点について論じると共に、その先に想定される危機のシナリオについて、前例も踏まえつつ考察しています。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-145.html

〈その他のお知らせ〉
立ち上げたまま1年ほど放っておいたホームページを、久々に更新してみました。
経済評論とは無縁の柔らかい(?)コンテンツも一部用意しておりますので、是非一度ご覧になってみて下さい。
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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