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アベノミクスで所得環境は悪化している

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インターネット動画「チャンネルAjer」の収録を行いました。
今回は「アベノミクスで所得環境は悪化している」というタイトルで、全体で約25分のプレゼンテーションです。

・動画前半:アベノミクスで所得環境は悪化している①
・動画後半:アベノミクスで所得環境は悪化している②


前回「リフレ派金融政策の破たん」でも指摘したとおり、第2次安倍政権になって以降、家計支出が落ち込み、日本経済はより一層停滞しています(その後発表された2015年10-12月期のGDP統計2次速報値では、状況はより一層悪化しています)。
ところが、安倍首相はその点を追及されるたびに、「アベノミクスは失敗しておらず、総雇用者報酬(あるいは総雇用者所得)は増加している」という趣旨の答弁を繰り返しています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-02-20/2016022001_04_1.html
http://www.news24.jp/articles/2016/03/02/04323751.html

2014年4月以降家計消費が落ち込んだ直接の原因は、もちろん消費税の増税です。
しかしながら、その後もアベノミクス前の水準を下回って推移しているのは、家計所得の実態をアベノミクス前よりも悪化させている、別の長期的な要因が存在するからと考えられます。
そう考えることで、「消費が減っている」「所得は増えている」という一見矛盾する上記の応酬についても説明がつき、なおかつアベノミクスが緊縮財政を誤った経済政策であることがより明確になる、というのが今回の議論です。

↓今回のプレゼン資料は下記URLから閲覧、ダウンロードが可能です(フレーム下の「Share」を押すと、ツイッター、フェイスブック、グーグルプラスで共有できます。是非ご活用ください)。
http://twitdoc.com/5HNH
(スマホなどで資料が上手くめくれない場合は、左下の「Download」を押すと画面が切り替わり、上手くめくれるようです)

以下はプレゼンテーションの概要です。


雇用者報酬が増加するのに消費が低迷する矛盾

前回「リフレ派金融政策の破たん」では、家計支出がアベノミクス以前よりも低水準で推移する一方で民間企業の過剰在庫が積みあがり、日本経済の先行きは極めて危ういものであることを指摘しました。
その後2016年3月8日に、2015年10-12月期GDP統計2次速報値が発表されましたが、図表1でも示されているとおり、改定後の結果は、より一層の家計支出の落ち込みと過剰在庫の積み上がりを示すものでした(GDP上方修正の要因は過剰在庫の拡大によるもので、実態はむしろ下方修正というべき結果です)。

【図表1:民間支出及びGDPの推移(実質季節調整値、2014年1-3月期=100)】

(↓フェイスブックページで同じ図表をご覧になるにはこちら)
http://on.fb.me/1QBXJox

ところが、冒頭で紹介した「しんぶん赤旗」や「日テレNEWS24」の記事でも述べられているように、安倍首相は「総雇用者報酬は増加している(ゆえに、家計の所得環境は改善している)」という答弁を繰り返しています。
これは、労働者が受け取る所得合計に相当する、GDP統計上の「(実質)雇用者報酬」を念頭に置いていると考えらます。

実際、上記2015年10-12月期GDP統計2次速報値によれば、直近2015年10-12月期の実質家計最終消費支出(年換算した季節調整値)が3年前と比べて4.1兆円減少しているのに対し、同時期の実質雇用者報酬(同)は2.3兆円増加しています(図表2)。
なぜ、こうした一見すると矛盾した状況が生じるのでしょうか。

【図表2:アベノミクス前後における、家計最終消費支出と雇用者報酬の比較(実質季節調整値、兆円)】

(↓フェイスブックページで同じ図表をご覧になるにはこちら)
http://on.fb.me/1XsJpRb



雇用者報酬は家計所得の実態を反映していない

実は以下の理由により、雇用者報酬は必ずしも家計の所得状況を反映しているとは言えません。

まず、雇用者報酬には、家計が給与所得として受け取る「賃金・俸給」だけでなく、雇い主である企業が負担する社会保険料も含まれています。
後者は家計が実際に所得として受け取るものではなく、消費との関連性は弱いと考えられます。

また、賃金・俸給にしても、あくまでも給与明細上の名目給与に相当するものです。
消費との関連性が高いのはむしろ、名目給与から労働者が負担する社会保険料や所得税を差し引いた「手取り給与」であると考えられます。

さらに、自営業者の所得である混合所得、あるいは年金や生活保護といった、給与以外の家計所得も考慮してデータに修正を加える必要があるでしょう。

GDP統計確報値を用いて以上の修正を施し、かつ家計最終消費支出デフレーターで実質化した「家計実質手取り所得」の推移を示したのが図表3です。
なお、所得税については株式をはじめとした資産の売買益が含まれるため、控除したものとそうでないものの2パターンを、念のため示しています(2015年は家計手取り所得のデータが存在しないため、実質雇用者報酬と同率で伸びたと仮定した算出結果を用いています)。
いずれも実質雇用者報酬とは異なり、消費税が増税された2014年以降、アベノミクス直前の2012年の水準を下回って推移しています。
つまり、総雇用者報酬の増加を強調する安倍首相の答弁は、家計の厳しい所得環境と乖離した的外れなものであり、アベノミクスは紛れもなく失敗しているのです。

【図表3:家計実質手取り所得及び実質雇用者報酬の推移(2012年=100)】

(↓フェイスブックページで同じ図表をご覧になるにはこちら)
http://on.fb.me/1Wnyx6V



社会保険料負担の増大が家計を圧迫している

家計の手取り所得が低迷している主な要因は、(社会保険料や所得税などを控除する前の)収入の頭打ちと、社会保険料負担の増大です。
家計の名目収入が名目GDPと同じく1997年にピークをつけているにもかかわらず、社会保険料の負担額はほぼ右肩上がりで増加し、当然ながら収入に占める比率も上昇の一途をたどっています(図表4)。

【図表4:家計の収入・手取り所得と社会保険料・経常税負担率の推移(兆円)】

(↓フェイスブックページで同じ図表をご覧になるにはこちら)
http://on.fb.me/1pIZeZu

下記各サイトでも示されているように、2004年度以降毎年引き上げられている厚生年金保険料を筆頭に、年金保険料、健康保険料、介護保険料のいずれも、20年前より料率が上がっています。
これが、家計収入が伸びないにもかかわらず社会保険料負担だけが増大している要因であり、消費の低迷にも影を落としています。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/hensen/20140710.files/standard_insurance_1.pdf
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo-hensen/20150331.html
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/hokenryouritunohennsenn

また、こうした社会保険料率の継続的な引き上げは、雇用者報酬と家計の手取り所得を乖離させる要因となります。
例えば、名目給与が変わらないまま、社会保険料率が年々上昇する状況を考えてみましょう。
当然ながら、家計の手取り所得は減少します。
他方でこの時、雇用者報酬の一要素である企業の社会保険料負担も上昇する結果、それに名目給与を足した雇用者報酬は増加するのです。

社会保険料の継続的な引き上げの背景には、家計収入のピークである1997年に本格化した緊縮財政があります。
しかしながら、消費税増税の悪影響でも明らかなように、社会保険料の引き上げは家計や企業の支出意欲を妨げることで日本経済の成長を止め、むしろ社会保険財政を悪化させていると考えられます。

これは、緊縮財政によって却って1998年以降の財政赤字が拡大しているのと全く同じ、悪循環の構図です。
にもかかわらず、安倍政権はつい先日の3月11日、年金給付を抑制する年金制度改革関連法案を閣議決定しました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016031102000232.html

仮に法案が成立すると、収入側からの家計の圧迫につながり、消費、ひいては日本経済のさらなる低迷要因となることが懸念されます。
また、この閣議決定は、アベノミクスが緊縮財政を前提とした誤った経済政策であること、そうしたアベノミクスが日本経済を低迷させていることを、より一層明らかにしたものと言えるでしょう(「アベノミクスが緊縮財政」の根拠については、下記の参考記事をご覧ください)。
積極財政こそが国民を豊かにし、日本経済を立て直す政策であることを、最後に改めて強調しておきたいと思います(図表5、図表6)。

↓参考記事「アベノミクスの失敗(チャンネルAJER編)
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-108.html

【図表5:日本のマクロ経済指標の推移(1980~2015年)】

(↓フェイスブックページで同じ図表をご覧になるにはこちら)
http://on.fb.me/1LxuFJ6

【図表6:名目財政支出伸び率と名目GDP伸び率の関係(1997年⇒2013年、年換算、29か国)】

(↓フェイスブックページで同じ図表をご覧になるにはこちら)
http://on.fb.me/1Nbx4P9

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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