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均衡財政主義の愚かしさ(チャンネルAjer)

インターネットテレビ「チャンネルAJER」の収録を行いました。
今回のタイトルは「経済政策に対する誤解Ⅱ(均衡財政主義の愚かしさ)」です。
「均衡財政主義」とは、

・政府の支出は、収入の範囲で行わなければならない(したがって財政赤字や、国債発行等の借金行為は基本的にNGで、不健全な行為である)。
・支出が収入を超えた結果借金が増え続けると、借金まみれの家計や赤字企業が破たんするように、いつか政府の財政が破たんしてしまう。

という考え方で、日本政府の財政運営にも色濃く反映し、過去15年ほどの緊縮財政路線の思想的背景にもなっています。
今回のプレゼンはこれに対して異議を唱えるもので、当日の資料は下記の通りです。

【当日のプレゼン資料(pdfファイル)】
均衡財政主義の愚かしさ(チャンネルAjer20130222).pdf
確かに一家計や一企業が収入の範囲を超えて支出を続けることは無理がありますし、これらが支出を見直して節約をすれば、支出を減らした分だけ収支が改善するのが通常です。
それを政府にもあてはめるこの考え方、一見するともっともらしい(別の言い方をすれば、我々の生活感覚にマッチするため受け入れやすい)のですが、一家計や一企業といった「ミクロな存在」とは比べるべくもない大きさや機能(徴税権や通貨発行権等)を持った「マクロな存在」である政府には実はあてはまらないのです。

今回のプレゼンは、このことをマクロ経済学の枠組みを使って説明しています。
動画へのリンクは下記の通りです(動画のリンク先は今月立ち上がったチャンネルAJERのウェブサイトです)。


【動画へのリンク】
第1部
第2部
第3部
第4部
(第1部の視聴には無料の会員登録が必要です。また、第2部以降については月1,050円のプレミアム会員登録が必要です。)

なお第1部については、今まで通りユーチューブやニコニコ動画にて無料で視聴いただくことも可能です。そちらへのリンク、またプレゼン全体の要約も下記に掲載しておきます。

ユーチューブ
ニコニコ動画


【プレゼン全体の要約】

・「誰かの収入は別の誰かの支出である」という普遍の真理から、「政府の収支はそれ以外の経済主体(家計、企業、海外)の収支合計の裏返しであり、財政赤字とは政府以外の経済主体の黒字(「貯蓄超過」という言い方をすることもあります)を反映した結果に過ぎない(逆に、財政黒字の時は政府以外の経済主体の収支が必ず赤字でなければならない)」という結論が導き出される。この結論は、古典派とかケインジアンといった、経済学派の違いを超えて成立する。
・こうした観点からすると、政府以外の経済主体の大半が、ミクロな存在でなおかつ自らの所得にその支出を制約される家計や民間企業である以上、通貨発行権を持つが故に最も資金調達力がある政府が赤字を負うことそれ自体は、不健全でもなんでもない(もちろん程度の問題はあり、「政府純債務額(政府が抱えている債務の額から政府が保有する金融資産の額を差し引いたもの)がGDPの何%か」が一般的な尺度になっている)。
・また、同様な背景から「一国の名目経済成長率は、その国の政府の名目支出伸び率と長期的にほぼ一致する」という法則が実際に成り立っている(理論的な根拠その他を詳しくお知りになりたい方は「乗数効果を再考する(チャンネルAjer)」をご参照ください)。
・以上より、政府が自らの収支を改善させようとして支出を切り詰めたり増税しようとしたりすると、その国全体の経済成長がストップし、それによって先行投資意欲を阻害された民間部門(特に企業)が貯蓄超過(収支バランスが黒字化)になる。結果として「政府部門の赤字は却って拡大し、GDPに対する政府純債務の比率も悪化(拡大)する」という皮肉な結果が実現する。
また、こうした民間部門の投資意欲停滞は、国民生活向上、国際競争力確保という点からも長期的にマイナスである(今の日本の状況がまさにそれ)。

(要約終わり)

上記の「政府が緊縮財政に走るほど、財政バランスは悪化する(逆に政府が積極的に支出を拡大するほど、財政バランスは改善する)」という「皮肉な結果」については可能な限り、日本の過去60年のGDP統計や直近15年の国際比較などの裏付けデータを提示しています(例えば、政府部門が黒字だった1955~1974年の「高度経済成長期」とは、政府支出もGDP同様年率15%以上のペースで拡大する「積極財政期」でもありました)。
またプレゼンの前半では、(積極的な経済政策による現状打破が期待されている)安倍晋三政権が最近出した2012年度補正予算案と2013年度当初予算案が実は前年度より支出を切り詰めた緊縮予算であること、このままでは「アベノミクス」が掛け声だけで終わってしまい、経済低迷やデフレの入り口となった16年前と同じ事態の繰り返しになりかねないことを分析し、私なりに警鐘を鳴らしています。

アベノミクスへの注目を通じて、ようやく積極財政にも光が当たり始めたところ(しかも今回プレゼンした通り、真の意味での実現まではまだまだ遠い)でのチャンネルAJERの有料化は個人的には残念な気がしますが、既存メディアのように広告収入に依存せずに運営を継続していくにはそれなりの裏付けが必要、ということのようなので、1人でも多くの方の支持を得られることを願うばかりです。


※日本経済再生のための財政支出拡大の必要性については、徐々に理解者・支持者が増えているとはいえ、まだまだ主要マスコミでのネガティブな報道等の影響力が強いのが現状です。1人でも多くの方にご理解いただくため、ツイッター、フェイスブック等下記ソーシャルボタンのクリックにご協力いただけると幸いです。

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シニョレッジによる財政問題解決課題

初めまして。Twitter でここを紹介された人がいてやって参りました。私はここ10年来、シニョレッジ発動(政府紙幣発行若しくは日銀の長期債引受または直買い、或いはいま日銀副総裁岩田規久男氏の提言される通貨価値操作によるインフレ税)による財源問題を学界で主張していたのですが、実社会にもこうした方がおられることは力強く思っています。近時では一昨年以下を発表しております。
http://www.slideshare.net/kenjikatsuragi1/3ent72-v5

Re: シニョレッジによる財政問題解決課題

コメントありがとうございます。
学界の方々には公益のため、「実際の経済データに合わない理論を捨てる勇気」を是非持って欲しいと考えている次第です。
学界で今やどれほどの重みがあるのかはわかりませんが、「マンデル・フレミング・モデル」なども、経済政策の議論に悪影響を与えているという意味では、その1つの事例ではないかと思います(当ブログでも以前、下記の通り取り上げたことがあります)。

http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-15.html


> 初めまして。Twitter でここを紹介された人がいてやって参りました。私はここ10年来、シニョレッジ発動(政府紙幣発行若しくは日銀の長期債引受または直買い、或いはいま日銀副総裁岩田規久男氏の提言される通貨価値操作によるインフレ税)による財源問題を学界で主張していたのですが、実社会にもこうした方がおられることは力強く思っています。近時では一昨年以下を発表しております。
> http://www.slideshare.net/kenjikatsuragi1/3ent72-v5
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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