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ユニクロのジレンマ

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メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に、「ユニクロのジレンマ」というタイトルで寄稿しました。
従来から述べている「グローバリズムという政策原理は、実は日本企業にとっても合理的ではないのでは」という提言を、メルマガ『島倉原の経済分析室』でも何度か取り上げている、ユニクロことファーストリテイリングの事例に即して論じています。

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を掲載しています。


【島倉原】ユニクロのジレンマ

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

昨年の大晦日、「グローバリズムの非合理性」というタイトルで本メルマガに寄稿しました。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/12/31/shimakura-40/

経済のグローバル化は紛れもない事実としても、実態として生じているのは「全世界の一体化」ならぬ「地域内経済活動の活発化」。
だとすれば、一国で1つの文明圏、ひいては巨大な地域経済圏を構成する日本においては、政策原理としてのグローバリズムは合理的な選択肢とは言えず、国内経済活動の活性化に努めるのが、国民のみならず実は企業にとってすら合理的な選択と言えるのではないだろうか。
そのことを経営学や比較文明論の見地も交えて詳しく論じたものとして、その際にご紹介したのが同名の下記の記事です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-133.html

今回はそんな具体例として、読者の皆さんも良くご存知であろう、ユニクロことファーストリテイリングという企業を取り上げてみたいと思います(経営の中核は持株会社で上場企業でもあるファーストリテイリングですが、以下の議論では事業子会社の名称でもあり、多くの方にとって馴染みがあると思われる「ユニクロ」で統一します)。
バブル経済の崩壊後、国内の衣料品市場が4割近く縮小したこの20年余りの間に、同社は国内売上高を100倍以上に伸ばすという驚異的な成長を遂げています。

事実上の創業者で筆頭株主でもある社長の柳井正氏は、アメリカの経済誌フォーブスによる世界の大富豪ランキングで、毎年のように日本人トップの座を獲得しています。
この20年で最も成功した日本企業の1つと言って、まず間違いのないところでしょう。
ここ数年は「グローバル化の尖兵」を自認し、世界一のアパレル製造小売業となるべく「売上高5兆円、経常利益1兆円」の目標を掲げ、中国をはじめとしたアジアを中心に、海外店舗を積極的に拡大しています。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34293

そんなユニクロが先々週の4月7日、中間決算を発表しました。
国内事業、海外事業ともに大幅な減益決算、通期の業績見通しも引き下げるという内容で、翌日の株価は1日で12.7%も下落しています。

国内事業では、2014年から2年連続で行われた商品の値上げが来店客数の減少を招き、売上高も前年より減少しています。
衣料品業界だけに暖冬の影響も無視できないかもしれませんが、競合他社の状況と比較する限り値上げ戦略が失敗したことは明らかで、直近では価格の引き下げを余儀なくされています。

本メルマガの読者にとっては今さらの議論でしょうが、消費税増税に代表される緊縮財政によって家計所得が圧迫され、消費はアベノミクス以前よりも冷え込んでいるのが現実です。
https://twitter.com/sima9ra/status/709761266428944384
https://twitter.com/sima9ra/status/707368633979109377

にもかかわらず、どうも柳井社長はそうした実態の深刻さを見過ごし、値上げも消費者に受け入れられる、と楽観視していたふしがあります。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ12HZY_S6A410C1EA2000/

ユニクロにとってのもう1つの誤算は、値上げの背景ともなった生産コストの上昇です。
もともとユニクロの成功を支えてきたのは、低賃金を背景として生産コストが安い中国をはじめとしたアジアの工場で商品を作って日本に輸入し、圧倒的な低価格で販売するというビジネスモデルでした。

ところが、前回お示ししたとおり、緊縮財政によって長期デフレに突入した日本では諸外国の状況と異なり、労働生産性の伸びにかかわらず1人当たり賃金が低下の一途をたどっています(下記PDFファイルの3枚目下段参照)。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/15/dl/15-1-2_01.pdf

そうした状況が20年にもわたって続いた結果として、単位労働コスト(製造1単位あたりかかる賃金コスト)において、今や中国が日本を上回っています。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ05H7B_V01C15A2MM8000/
(ご興味がある方は、上記記事中に掲載された日中の単位労働コストの推移を示したグラフをご確認ください。日経電子版の宣伝をするものではありませんが、無料会員登録をすれば、月間10本の記事が閲覧可能です)

もちろん上記のグラフは全産業ベースのもので、「衣料品の生産コストについても、中国よりも日本の方が安い」ことを必ずしも意味するものではありません。
とはいえ大局的に見れば、ここに至ってユニクロのビジネスモデルは、「わざわざ労働コストの高い外国で生産し、所得が伸び悩む国内で販売する」という、およそ経済合理性に合わないものになってしまっています。
これまでの圧倒的な成功と裏腹の、ある種のジレンマに陥っていると言えるでしょう。

グローバル化を推進し、海外店舗数が国内のそれを逆転した今でも、ユニクロの利益全体の約6割は国内ユニクロ事業が支えています。
だとすれば上記のマクロ的な要因が、同社の経営に重大な影響を与えないわけがありません。
まさしく「企業にとっても国内経済活動の活性化こそが重要で、政策原理としてのグローバリズムは合理的な選択肢とは言えない」ことを示す典型的な事例ではないでしょうか。

もちろん柳井社長とて、一代で今日のユニクロを築いたひとかどの経営者ですから、自身の誤りを率直に認め、値上げ方針の撤回、ローコスト経営の徹底など、迅速に軌道修正を図ろうとしています。
そもそも、緊縮財政による日本経済の長期停滞自体は一経営者として対処できる範疇を超えた問題です。
その意味では、グローバルにユニクロ事業を拡大するという経営方針もまた、経営者として可能な限り経済環境に対応したものなのかもしれません。

では、そうした経営方針は、「企業経営とグローバリズム」という観点からはどのように評価できるのか。
今回の軌道修正を受けて、ユニクロの先行きはどうなるのか。

こちらについては、これまで述べたマクロな視点を踏まえつつも、ユニクロの長期にわたる業績の分析も行いながら別途考察しています。
ご興味のある方は、同じくグローバル展開する小売業であるアメリカのウォルマートについての分析と合わせ、是非、ご参考にして下さい。

↓「ユニクロの株価はなぜ急落したのか」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-114.html
↓「ユニクロとドル円相場の行方」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-160.html
↓「グローバル小売業の相次ぐ株価急落」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-115.html

それにつけても、柳井社長をはじめ、ユニクロの経営幹部の方々が本メルマガ、あるいは拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』の読者であれば、ここまで業績が悪化することもなかったのではないか・・・と思うと残念でなりません。
読者の皆様におかれましても、「ライバルに教えるのは勿体無い!!」などとおっしゃらず、一人でも多くの知人・友人に、本メルマガの読者登録を(さらに、もしよろしければ拙著も)お勧めになってはいかがでしょうか(笑)。
http://www.mag2.com/m/0001007984.html
http://amzn.to/1HF6UyO


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〈島倉原からのお知らせ〉
上記でご紹介した拙稿の中に「ドル円相場の行方」というタイトルが含まれていました。
ドル円相場については昨年来、景気循環論に基づく中長期的視点、直近の動向を踏まえた短期的視点の双方から考察しています。
ご興味がある方は、是非こちらも合わせてご覧になってみて下さい。
↓「ドル円相場の行方」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-112.html
↓「続・ドル円相場の行方」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-139.html
↓「ドル円相場の短期的な節目」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-159.html


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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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