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機能的財政論を再考する

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メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に、「機能的財政論を再考する」というタイトルで寄稿しました。
インターネット動画「チャンネルAjer」でのプレゼン「機能的財政論から見た日本経済」を踏まえつつ、財政収支の均衡などに囚われることなく完全雇用や物価の安定を目的とすることこそが財政政策の役割とする「機能的財政論」に着目することの意義を論じています。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/05/05/shimakura-47/

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。


【島倉原】機能的財政論を再考する

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

先週、インターネット動画『チャンネルAJER』にて、「機能的財政論から見た日本経済」というタイトルで話をしました。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-163.html

中野剛志さんの『国力とは何か』などでご存知の方もおられるかもしれませんが、「機能的財政論」とは、ジョン・メイナード・ケインズの弟子にあたるアメリカの経済学者アバ・ラーナーが著書『雇用の経済学』や『統制の経済学』などで提唱した、

「財政政策は(財政収支や政府債務の多寡ではなく)完全雇用の達成や物価の安定といった経済全体のパフォーマンスを目的とし、その目的にかなった政策を状況に合わせて採用すべきである」

という政策論です。
      


完全雇用とは、いわば国の生産能力がフルに発揮された状態。
そうした状態をもたらすために、生産能力に見合った国全体の支出(総需要)を適正レベル(物価が安定した状態)に保つのが、財政政策において政府が果たすべき第1の責任。
そのためには、通貨発行権を持つ国家においては実態上ほとんど意味がない「財政収支の均衡」という固定観念にとらわれることなく、財政支出、徴税、借入れ、通貨発行といった政策手段を現状に合わせて適切に選択すべきである、というのがその骨子です。

詳しくは冒頭でご紹介した拙稿をお読みいただきたいのですが、こうした機能的財政論(functional finance)の枠組みを用いることで、財政政策(fiscal policy)はもちろん、一般には金融政策(monetary policy)に分類される様々な政策手段についても、いわば「financial policy」という同じ土俵のもとで(例えば下記資料3ページのような形で)、その意義や有効性を論じることも可能になります。
http://twitdoc.com/5PM1

そして、以下のグラフでもわかるように現在の日本は明らかに総需要不足の状態。
https://twitter.com/sima9ra/status/725344695505805312
https://twitter.com/sima9ra/status/725345562195800064
https://twitter.com/sima9ra/status/725346322765611008

ところが、機能的財政論の見地からは、財政支出拡大を伴わない「黒田バズーカ」なる政策は理論的に無意味(マイナス金利政策に至ってはむしろ総需要にマイナスの可能性もあり)で、実際上も効果に乏しい。
https://twitter.com/sima9ra/status/719076491980439552

にもかかわらず、総需要に最もプラスな財政支出拡大が行われたのは当初だけで、その効果も間接税(消費税)増税という最もマイナスな政策で打ち消してしまったアベノミクスは、政策パッケージとしていかにもまずい、というお馴染みの結論が、機能的財政論からも素直に導き出すことができます。

さて、そんな議論をした翌週早々の5月2日、日本経済新聞の朝刊で、下記の記事が報じられました。

中国、8兆円減税始動 不動産など非製造業の負担減
「中国政府が国内景気のてこ入れへ大規模な減税に乗り出した。企業の売り上げにかける「営業税」を廃止し、売り上げから仕入れを引いた粗利にかける「増値税」に一本化する税制改革を1日実施した。今年の減税規模は5000億元(約8兆2千億円)超を見込む。景気を下支えするとともに先進国並みの税制導入で産業の高度化につなげる。」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO00310810S6A500C1FF8000/

こちらは消費税増税とは真逆の間接税減税、すなわち、財政支出拡大と並んで総需要拡大に最も効果的な政策です。
機能的財政論から見ても、世界経済に与える影響が懸念されるほど供給過剰による経済不振に陥っている中国において、最も適切な政策であると言えるでしょう。

実は、日本でも全く同じような政策が実施されたことがあります。
すなわち、売上税などの廃止とセットであったがゆえに、実質的には減税であった1989年4月の消費税導入です。

ところが1989年と言えば、バブル経済に象徴される景気循環の絶頂期で、むしろ需要過多の状況。
対して、同時期に行われた政策全体としても総需要にマイナスだった1997年と2014年の消費税増税は、いずれも需要不足気味となる「景気循環の底」に近い局面で実行されています。

こうした機能的財政論と逆行した政策運営は、そのまま長期にわたる日本経済の不振につながっています。
そして、経済不振による税収の落ち込みが緊縮財政志向をさらに強めることで、本来必要なはずの公共サービスも劣化する、まさしく悪循環の構造です。
そうこうしている間に、より適切な政策運営を行なってきた中国にGDPで追い抜かれ、その差はさらに広がろうとしています。

しかも、経済不振の解決策を「積極財政による総需要の拡大」という本筋から外れたところに求める結果、行き過ぎた改革・グローバル化志向という弊害も生じます。
そうかと思えば、経済不振による閉塞感や行き過ぎた改革への反動で、嫌韓・嫌中・ヘイトスピーチに代表される極端に閉鎖的なムードも助長されていきます。

こうしてあらゆる方面から国の安全性が低下しているのが、残念ながら日本の現状と言えるでしょう。
G7伊勢志摩サミットでのテーマも、「機能的」ならぬ、2014年の消費税増税をもたらした「機動的」な財政政策となるようで、決して楽観はできない状況です。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/fr/page4_002007.html

こうした状況に根本的な歯止めをかける切り口として、機能的財政論を今一度掘り下げることが有意義なのではないか―改めてそんな風に思う今日この頃です。

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おなじみiPhoneの販売不振が、アップルのみならず、関連部品メーカーの株価下落をもたらしています。
そんな中、逆に株価が大幅上昇しているiPhone関連企業に着目し、その背景にあるIT業界の変化のトレンドについて考察しています。
↓「iPhone販売不振でも上昇するアップル関連株」
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上述した景気循環が、直近の新興国経済の不振や原油をはじめとする商品価格の下落とつながっていることは、折に触れて述べているとおりです。
このうち30年を超える周期を持つ「スーパーサイクル」が、株式市場や外国為替(FX)市場にどのように反映されているかを確認してみました。
↓「金融市場に映る新興国と商品価格のサイクル」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-164.html


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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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