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アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム(チャンネルAjer)

インターネットテレビ「チャンネルAJER」の収録を行いました。
今回のタイトルは「アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム」です。
前回の「経済政策に対する誤解Ⅱ(均衡財政主義の愚かしさ)」の続編とも言えるもので、

・「GDP比で政府総債務が200%(純債務ベースでは125%)を超えた日本では、財政再建のために財政支出を抑制/削減しなければならない」という一見もっともらしい意見は、実はマクロ経済学的に見ると「乗数効果」を無視した誤った議論である。
・実際には、「財政出動、即ち財政支出を積極的に拡大するほど、GDP比で見た政府の財務バランス(政府純債務÷GDP、または政府総債務÷GDP)は改善(縮小)する」ことが簡易なシミュレーション(マクロ経済モデル)によって証明できる。

という内容です。

当日のプレゼン資料(PDFファイル)と動画(全部で約50分)は下記の通りです。

【プレゼン資料】
アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム.pdf

また、今回使ったシミュレーション用ワークシート(Excelファイル)も併せて掲載しておきます。
【シミュレーション用ワークシート】
財政出動効果測定用簡易マクロ経済モデル(by島倉原).xls

【チャンネルAjer動画】
(①はチャンネルAjerへの無料会員登録、②~⑤は月1,050円の有料会員登録が必要になります。)
アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム①
アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム②
アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム③
アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム④
アベノミクスへの提言:「財政出動→経済成長&財政再建」のメカニズム⑤

上記①については、チャンネルAjerに登録せずにユーチューブやニコニコ動画でご覧いただくことも可能です。





以下では「証明のプロセス」を述べています。少々長いですが、ご参考になれば幸いです。

【証明のプロセス】
①日本経済においては「政府が財政出動によって支出を拡大すると、その約4.0~5.5倍の額だけGDPが増加する。(これを「乗数効果」と言います)
「誰かの支出は別の誰かの所得である」というのは、ケインジアンとか新古典派とかいった経済学派の違いを超えて成り立つ真理です。他方で「家計や企業といった民間部門が新たに所得を得ると、その何割かは新たな支出(消費や投資)に回る」というのも経験則としてご理解いただけると思います。
このことを前提とすれば、ひとたび政府が支出を拡大すると「民間部門の誰かの所得の増加→その誰かによる新たな支出が発生→また別の誰かの所得が増加→その『別の誰か』による新たな支出が発生」というプロセスが繰り返されることになります。
その結果、「最終的な経済全体での支出増加額(=所得増加額=GDP増加額)はもともと政府が支出を拡大した額の何倍もの大きさになる」という結論が導き出されます(裏を返せば、政府が支出を削減すると、その何倍もGDPが減少してしまいます)。
こうしたプロセスこそ、マクロ経済学の教科書で「乗数効果」と呼ばれているものです。
そして各国のGDP統計を並べてみると、「一国の名目GDP成長率は、長期的にその国の政府の名目支出伸び率にほぼ一致する(言い換えれば、名目GDPは名目政府支出に比例して拡大する)」という事実が確かめられます。このことは、乗数効果が長期安定的に働いており、名目GDPを名目政府支出で割り算して出てくる値(実際には景気循環の影響を受けて短期的に上下しますが、ほぼ一定の範囲で推移します)こそがその国の乗数であると考えるのが合理的であることを意味しています。
上記で日本経済の乗数として提示した「4.0~5.5倍」という数字は、過去約60年のGDP統計から算出したものです。
さらに、こうしたGDP拡大のプロセスにおいて同時に発生する「支出に回らない所得(=貯蓄+税金)」は当初の財政支出拡大額と一致することが数学的に確かめられます。
経済全体で見ればこうした所得は巡り巡って財政支出拡大の「財源」として機能しています(税金が政府の財源であることは言うまでもないですし、貯蓄については直接または間接的に国債の購入に充てられる、と考えればやはり政府の財源として機能していることはご理解いただけると思います)。この状況は「財政支出の財源は財政支出それ自身によって生み出される」と言い換えることもできます。
従って、財政出動が批判される際によく出てくる「今の政府にはその財源が無い」という意見は、政府を個々の家計や企業と同じミクロな存在として認識することから生じる誤った議論(マクロ経済的な視点から見れば全くナンセンスな俗説)であることがわかります。

②日本経済の乗数を適正に織り込んだシミュレーションを実施すると、相当に保守的な前提の下でも「財政支出を積極的に拡大するほど、政府の財務バランス(政府純債務÷GDP)は改善する」という結果が導かれる。
(シミュレーションモデルの構造、具体的な前提条件、及びシミュレーション結果については、上記プレゼン資料やシミュレーションファイルをご参照ください。)
ここでの「保守的な前提」という表現は、「『財政支出を積極的に拡大するほど、政府の財務バランス(政府純債務÷GDP)は改善する』という仮説を立証する」ために、「支出拡大シナリオが財務バランス改善につながりにくくなるような、『支出拡大シナリオにとって実際のレベルよりも相当程度不利な前提』を敢えて設けてシミュレーションを行った」ということを意味します。
つまり、目的を「実際にいくら支出を拡大したら『政府純債務÷GDP』は何%になるかを厳密に求めること」ではなく「財政支出抑制路線と財政支出拡大路線のどちらを採用するのが正しい意思決定の方向か定めること」に設定し、「そこまで保守的にやっても上記仮説を支持する結果が出た⇒ということは、少なくとも現行の財政支出抑制路線を捨て、積極的な財政支出拡大路線を採用すべきなのは明らかである」という判断を行うのが妥当か否か、確認するためのシミュレーションを行っている訳です。
目的をそのように絞り込みさえすれば、通常のマクロ経済モデルのような何百本もの方程式が絡み合った複雑なものを用意する必要は無く、今回掲載したシミュレーションモデルくらい簡易なレベルでも十分役割を果たすことができます。そして、簡易なモデルを使うことによって、「学問的権威」や「専門家」の煙に巻かれることなく、多くの人が自分の目で結論の妥当性を確認することができる、という利点が生じます(個人レベルでもこの程度のことはできる訳ですから、専門家ではないが国民の付託を受けた意思決定権者である政治家の方々は特に、「官僚任せ」にすることなく、自ら検証して欲しいものです)。
一旦正しい方向性を確認した後には、例えば「財政支出拡大額をいくらに設定するのが妥当か」をより精緻に検証したいというのであれば、必要に応じてより複雑な前提を置いたモデルを使ってもらえば良い訳です。
前置きが長くなりましたが、「乗数効果を現実的なレベルで前提条件として織り込めば、財政支出拡大による政府債務の増加以上に乗数効果によるGDP増加のインパクトが大きいため、財政支出を拡大するほど政府の財務バランスはむしろ改善する」ことが今回のシミュレーションで確認できます(今回は「現実の乗数は4.0~5.5倍のどこか」における下限値である4.0倍をもって「乗数の保守的な前提」としました)。
仮に「政府の財務バランス改善のためには、財政支出抑制の方が望ましい」という上記と逆の結論を今回のモデルから無理矢理導き出そうとすると、「乗数は1.5倍未満」という全く現実離れした前提を置く必要があります。
実は、この「1.5倍未満の乗数」とは現行の内閣府のマクロ経済モデルの姿そのものです。今回のシミュレーション結果は、乗数効果を軽視した非現実的なマクロ経済モデルを使用して政府が判断や意思決定を行っていることが、現在の間違った経済政策の背景となっていることを示唆しているとも考えられます。
もともと経済企画庁でご活躍された、計量経済学の専門家である宍戸駿太郎先生(日本経済復活の会でご一緒しています)に言わせると、「現行の内閣府のマクロ経済モデルは、財政破たんに陥った発展途上国に対して財政リストラを迫るために使われるIMFのマクロ経済モデルを下敷きにしており、日本に当てはめるのは到底無理がある」というのが現実のようです(宍戸先生は遠慮されているだけかもしれませんが、私自身は、乗数効果を軽視している以上、そもそも発展途上国にも到底当てはまらないだろうな、と思っていることを付け加えておきます。)。

財政出動が乗数効果を通じてもたらすこうした結果(経済成長&財政再建)は、「構造改革」からはそもそも生まれません(構造改革とは所得の流れや分配方法を変えるものではあっても、所得全体のパイそのものを拡大するものではないからです)。
また、財政出動無しに金融緩和だけ積極的に行っても全く効果が無いのは、過去15年の日本の経済パフォーマンスが示している通りです(このあたりについては、当ブログの記事「財政政策に対する誤解(マンデルフレミングモデル)(チャンネルAjer)」も参考にしてください)。
つまり、「(名目経済成長の結果としての)デフレ脱却」「成長戦略」「財政再建」のいずれにとっても、「財政支出の積極的拡大」こそが実現のための必要十分条件である、といっても過言ではありません。
前回の「経済政策に対する誤解Ⅱ(均衡財政主義の愚かしさ)」でも述べたとおり、現在のアベノミクスでは、この最も大事な財政政策が掛け声倒れになっているのが実態です(来年度予算が実質的には前年よりも支出を削減した緊縮予算となっていることに加え、衆議院選挙の際には実施の是非を慎重に判断するかのように言われていた消費税増税が、いつの間にか既定路線のようになってしまっています。)。
これを打破するには乗数効果についての誤った認識(およびそれに基づいた政府のマクロ経済モデル)を抜本的に改める必要があるのではないでしょうか。

※日本経済再生のための財政支出拡大の必要性については、徐々に理解者・支持者が増えているとはいえ、まだまだ主要マスコミでのネガティブな報道等の影響力が強いのが現状です。1人でも多くの方にご理解いただくため、ツイッター、フェイスブック等下記ソーシャルボタンのクリックにご協力いただけると幸いです。

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テーマ : これでいいのか日本
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tag : 財政政策 財政出動 乗数効果 経済成長 財政再建 アベノミクス 経世済民

コメント

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No title

乗数効果が4~5倍というのは、かつての高度経済成長期の数字でしょう。

失われた10年の時代、公共投資の乗数効果はわずか1.4倍程度だったはず。

それでいくら公共投資をしても景気は回復しなかったのは、周知の事実だと思います。

大前提が根底から違うと思います。

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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