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いわゆるリフレ派の功績

メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に、「いわゆるリフレ派の功績」というタイトルで寄稿しました。
2016年9月21日の日銀の金融政策決定会合で誤りが明らかとなった、「マネタリーベースを増やせば期待インフレ率が上がり、デフレから脱却できる」といういわゆるリフレ派の金融政策を取り上げ、彼らの理論の失敗が実は、財政出動の足かせとなっている均衡財政論の誤りを示していることを「理論的に」解説しています。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/10/20/shimakura-59/

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以下では今回の記事を転載しています。


【島倉原】いわゆるリフレ派の功績

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

今週月曜日の本メルマガは、三橋さん執筆の「いわゆるリフレ派の罪」でした。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/10/17/mitsuhashi-481/
かくいう私自身も、リフレ派の方々が唱える金融政策が無効であることを、理論・実証の両面にまたがり、折に触れて指摘してきました。
そんな批判ばかりではあまりにもかわいそう(?)ということで、今回はリフレ派の残した功績を、理論的に解説してみたいと思います。

リフレ派の功績とはズバリ、主流派経済学の立場からの均衡財政論を、身をもって葬り去ったことにあります。
なぜそのようなことが言えるのか―それを解くカギは「財政支出=税収+国債発行+通貨発行」という、いわゆる政府の予算制約式に存在します。

予算制約式そのものは、支出(左辺)のあるところには、必ずそれに見合った何らかの形での資金源(右辺)が存在するという恒等式、すなわち、経済学派の違いを問わず、常に成立する構図を示したものに過ぎません。
では、なぜこの恒等式から、「財政支出は全て税収でまかなわなければならず、前者が後者を上回る財政赤字は悪」という均衡財政論が導き出されるのでしょうか。

財政支出が税収を上回り、財政赤字が発生する局面では、その分国債発行か、通貨発行(いわゆるヘリコプターマネーや、公的部門全体ではマネタリーベースを資金源としている中央銀行による国債買取りすなわち「マネタイゼーション」も、こちらに分類されます)を実行しなければなりません。
しかしながら、通貨発行に頼れば過度なインフレを招くため、それはご法度。
だからといって代わりに国債発行を増やし続ければ、いずれ民間の買い手がいなくなって国債が暴落して政府の資金調達が行き詰まり、財政が破たんする。
したがって、突き詰めると財政支出は全て税収でまかなわなければならない―これこそが、主流派経済学の立場からの均衡財政論の骨子なのです。

ところが!!
日銀はリフレ派の論理の下で「異次元金融緩和」という名の大規模なマネタイゼーション、すなわち通貨発行を推し進めました。
その結果は過度なインフレどころか、消費税増税の影響がはげた2015年度以降、むしろ次第にデフレ傾向が強まっていることは、前回もお伝えした通りです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/10/06/shimakura-58/

すなわち、リフレ派はある種の社会実験によって、「インフレを招くため、通貨発行はご法度」という均衡財政論の大前提をくつがえしてしまったのです。
そうなると、「財政赤字を続けると国債の暴落を招き、財政が破たんする」という均衡財政論者の結論も、当然ながら成立しなくなってしまいます。

もちろん、「通貨発行を増やせばインフレになる」という均衡財政論の大前提は、ほぼそのままリフレ派自身の理論的根拠でもあったので、その破たんは当然のごとく、リフレ派理論の失敗という結果にもつながりました。
そうした現実離れした理論を振りかざして日本のデフレ脱却を遅らせたことは、三橋さんもご指摘の通り、間違いなくリフレ派の罪。
しかしながら、そうした失敗を白日の下にさらすことで、本来正しい政策である積極財政の大きな足かせとなっている均衡財政論と事実上共倒れしてくれたことは、「リフレ派の功績」として評価しても良いのではないでしょうか。

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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