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トランプ現象とブレグジットの相違点

メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に、「トランプ現象とブレグジットの相違点」というタイトルで寄稿しました。
ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領当選とイギリスのEU離脱、共に反グローバリズムの動きとされていますが、金融市場は異なった反応を示しています。
両者の相違点を確認しつつ、景気循環論の観点を交えてその背景を考察したのが今回の論稿です。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/11/17/shimakura-61/

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以下では今回の記事を転載しています。

【島倉原】トランプ現象とブレグジットの相違点

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

先週最大のニュースといえば、何と言ってもアメリカ大統領選挙。
周知の通り、一時は「泡沫候補」とも言われた共和党のトランプ氏が当選しました。

グローバル化の下で資本が国境を越えた利益を追求し、
一部の上位所得層に所得が集中する一方で、先進国の労働者が貧困化する。
そんな格差社会への不満が、リーマン・ショック後の停滞の中で臨界点に達し、
イギリスのEU離脱決定に続き、反グローバリズムの投票行動として顕在化した。
そんな解説を、本メルマガのみならず、多くのメディアで目にしていることでしょう。

上記の解説、それはそれで間違いではないのですが、
トランプ現象とブレグジット、金融市場の反応は、いささか異なるものとなっています。

ブレグジットが判明した6月24日は、日本も含め、世界同時株安の様相。
外国為替市場では円高・ドル高(ユーロなど、円以外の通貨に対して)となるなど、
明らかにリスクを回避しようという流れでした。

ところが今回、トランプ氏の当選が判明した11月9日には、
日本こそ大幅な株安だったものの、アメリカはじめ、その他の先進国市場は軒並み上昇し、
外国為替市場も、東京時間こそ円高が進行したものの、
その後は対円も含め、ほぼ全面的なドル高となっています。

そして際立って対照的なのは、新興国市場の動き。
ブレグジットの際は、「先進国発のパニック」ということで、
株安局面も含め、新興国株の方が先進国株よりも堅調だったのに対し、
今回は同じく先進国で起きた出来事でありながら、
新興国株のパフォーマンスが先進国株に見劣りするのみならず、
トランプ氏当選判明後4日続落し、マイナスで推移するなど、
明らかに新興国からの資金流出が生じています(2016年11月15日時点)。

トランプ現象とブレグジット、共に反グローバリズムの現象ではありますが、
ブレグジットがEUというグローバリズム体制から見れば、
共通通貨ユーロにも不参加のイギリスという、いわば一周辺国の動きであったのに対し、
トランプ現象はグローバリズムの総本山、基軸通貨国アメリカで起きたイベントです。

私自身は、非現実的な主流派経済学とは根本的に相容れない「景気循環論」の観点から、
グローバル経済には、先進国・新興国間の長期的な資金サイクルが存在し、
リーマン・ショックもその後の停滞も、そのサイクルがもたらした現象であると共に、
現在は新興国から先進国、特に基軸通貨国アメリカに資金が移動する局面と考えられ、
周期的な現象としての新興国危機が起こる可能性すらあると、一昨年から述べてきました。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-54.html
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/10/09/shimakura-7/

来年誕生するトランプ政権の実際の政策について、現時点では不透明な要素も多く、
トランプ大統領誕生の中長期的な影響は、決して定かではありません。
しかしながら、現在までの金融市場の動きを見る限り、
景気循環の後退局面で反グローバリズムの動きが顕在化し、
それを背景として国内回帰の政策を打ち出したトランプ氏の当選が、
一昨年のロシア制裁ショック、昨年の人民元切り下げショックを経た後に、
今年に入りやや停滞していた先進国への資金移動を今一度強めるきっかけとなった。
そうした解釈が成り立つのではないでしょうか。

仮にそうした解釈が正しいとすると、意外というか、反省点が一つ。
私自身は、資金移動を加速する、そうしたイベントの新たな勃発自体は想定していました。
とはいえ、それは昨年の人民元切り下げショック同様の、
何らかの新興国発のイベントであろうと、半ば思い込んでいたところがあります。
しかしながら、トランプ現象自体も上述の資金サイクルを背景に生じたものだとすれば、
「先進国発のイベントによる資金移動の加速」という上記の解釈も、当然あるべきでした。

そうした教訓につながるかどうか、時間が経ってみないとわからないところはありますが、
いずれにせよ、歴史的に見ても興味深い分析局面にあることだけは間違いなさそうです。

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〈島倉原からのお知らせ〉
今回の記事と一見矛盾したことを述べているようですが、
「ドル高・先進国株高が一本調子に進むわけではないのでは」という1つのシナリオを、
新興国側の事情も加味しながら分析しています。
↓「トランプ大統領当選後の金融市場」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-208.html
↓「株式市場の下値のメド」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-207.html

景気循環論を前提としたマクロ経済分析、経済政策論に興味がある方は、
こちらの拙著も参考にして下さい。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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