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東京オリンピックのマクロ経済効果とは?

インターネットテレビ「チャンネルAjer」の収録を行いました。
今回は「東京オリンピックのマクロ経済効果とは?」というタイトルで、全体で約40分のプレゼンテーションになっています。

先日、2020年のオリンピック開催地が東京に決まりました。
プレゼン資料にも載せている通り、上は150兆円から下は3兆円まで、「経済効果」なるものが喧伝されていますが、これらはあくまで「ミクロ」な試算結果です。
政策の枠組みを誤ると、「マクロ」な観点からはその効果が相殺、場合によっては弊害すら生じかねないことを今回のプレゼンでは述べています。

今回のプレゼン資料です。
東京オリンピックのマクロ経済効果とは?.pdf

以下は動画へのリンクと、プレゼン内容の概要および補足です。
【チャンネルAjer動画へのリンク】
(①はチャンネルAjerへの無料会員登録、②は月1,050円の有料会員登録が必要になります。)
東京オリンピックのマクロ経済効果とは?①
東京オリンピックのマクロ経済効果とは?②

①については、チャンネルAjerに登録せずにユーチューブやニコニコ動画でご覧いただくことも可能です。





【プレゼン内容の要旨および補足】
上述の通り、公表されている経済効果はいずれも「他の経済活動への影響額」を考慮しない「ミクロな経済効果」の試算であり、日本経済全体への「マクロな経済効果」を試算したものではありません。
例えば、所得が変わらないまま、誰かがオリンピックを観るために旅費を使ったりオリンピック関連グッズを買ったりすれば、その人は他の出費(例えばオリンピックが無ければその年行っていたであろう、他所への旅費)をその分削るであろう、ということはイメージできると思います。
つまり、オリンピックを開催しても日本経済全体の「所得のパイ」の大きさが変わらなければ、オリンピック関連とそれ以外の経済活動との間での「パイの奪い合い」が起こるだけで、マクロな経済効果はプラスマイナスゼロ、という結果で終わってしまいます。

では、何が「日本全体の所得のパイ(GDP)」の大きさを決めるのか。
それは当ブログでも再三指摘しているように、「公的支出の総額」なのです。
国際的に見ても「長期的には、公的支出の伸び率が高い国ほど、経済成長率が高くなる」(さらに言えば、両社はほぼ一致する)ことがデータで示されています。
そして、「度重なる金融緩和にもかかわらず、緊縮財政(公的支出総額の抑制)の結果として、1990年代後半以降ゼロ成長・デフレ不況に陥った」のが、日本の「失われた20年」の正体なのです(プレゼン資料の3~4ページでご確認ください)。

従来通り、「日本はGDPの2倍以上の政府債務があり、財政が大変だから」という誤った発想で(現実はむしろ「緊縮財政で経済成長を止めたことにより、GDPに対する政府債務の比率が大幅に拡大した」であるにもかかわらず、因果関係を真逆にとらえている)、「オリンピック関連で支出が増える分は、増税するか、オリンピック関連以外の政府支出を削ろう」という「均衡財政主義」を続けるとどうなるか。

日本全体でのマクロの経済効果は、プラスマイナスほぼゼロ。
・「所得のパイ」における東京の取り分が増え、地域格差がより一層拡大する。
・より重要な支出(震災復興、既存公共インフラのメンテナンス、エネルギー政策関連支出、教育向け支出etc.)への抑制圧力が強まり、かえって国力や国民生活の質が低下する。

これではむしろ弊害の方が大きいでしょう。
実際1990年代後半以降、高齢化に伴う社会保障支出の拡大を受けて、上記の「より重要な支出」を削ったことで生じたのが、「世代間格差」や「地域格差」に他なりません(プレゼン資料の6~9ページでご確認ください)。

現状は様々な点で、17年前と似たような状況にあります。
ちょうど17年前の1996年、日韓ワールドカップの開催が決まりました。
その前年には大地震(阪神・淡路大震災)があり、翌年からは消費税引き上げ(1996年6月25日閣議決定⇒1997年4月1日施行)とともに、均衡財政主義の発想を体現した「財政構造改革法」(1997年12月5日施行)が施行され、今に至る緊縮財政がスタートしました。
結果、日本経済は長期デフレ不況に陥り、ワールドカップ開催決定日(1996年5月31日)から大会最終日(2002年6月30日)までに、日経平均株価は51.7%も値下がりしています(プレゼン資料の10ページに、当時と今との比較表を載せています)。
政府が「歴史の教訓」を忘れず、17年前と同じ轍を踏まないことを望みます。

※日本経済再生のための財政支出拡大の必要性については、徐々に理解者・支持者が増えているとはいえ、まだまだ主要マスコミでのネガティブな報道等の影響力が強いのが現状です。1人でも多くの方にご理解いただくため、ツイッター、フェイスブック等下記ソーシャルボタンのクリックにご協力いただけると幸いです。

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テーマ : 政治・経済・時事問題
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tag : 東京オリンピック 財政政策 消費税 大震災 経済成長 日本経済 アベノミクス GDP 財政出動 金融政策

コメント

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No title

動画、見させていただきました。名目GDPはM2+CDやマネーサプライとの相関関係は薄く、名目公的支出との相関関係によって決まることを示したグラフと、政府支出の構成項目について、引退世代、現役世代、将来世代の大まかな説明を加えたところが、よかったと思いました。
さて、消費増税が決まったようですね。予想はしていたとはいえ、残念です。

Re: No title

コメントありがとうございます。
プレゼン資料の最後につけた17年前との比較表には載せていませんが、アメリカの政府機関閉鎖も、17年ぶりのことのようですね(私自身も今日の今日知りました)。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99004B20131001

「歴史は繰り返す」と言いますが…果たして。

No title

おっと、自分のコメントでマネタリーベースとすべきところでマネーサプライにしているのに気がつきました。訂正しておきます。
17年前の件に関しては、ワールドカップのための事業がその他の事業に与えた影響がどの程度か、個人的に調べてみたいとも思いました。
アメリカでの17年前の政府機関閉鎖が自分には記憶がなく、少し落ち込んでいます。トホホ
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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