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デフレの瀬戸際にある日本経済?

三橋貴明の「新」経世済民新聞』に、「デフレの瀬戸際にある日本経済?」というタイトルで寄稿しました。
直近で発表されたGDP統計や毎月勤労統計調査をひもとき、政府発表のような「デフレを脱却して景気が回復し、雇用が改善している」どころか、賃金の低迷を背景として国内需要が落ち込み、再びデフレ局面に陥るリスクをはらんでいる日本経済の現状について述べています。
https://38news.jp/economy/10023

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。

【島倉原】デフレの瀬戸際にある日本経済?

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

先週13日に発表された2016年10-12月期のGDP統計第1次速報値は、
日本経済が決して順調な状況にあるわけではないことを示すものでした。
2016年1-3月期から3四半期連続で続いていた国内需要、
すなわち国内の経済主体による支出額のマイナス成長こそ久々にプラスに転じましたが、
それでもわずかにプラス0.3%。
2016年通年ではリーマン・ショックの余波が残る2009年以来のマイナスとなったことは、
一昨日に藤井聡さんが述べておられたとおりです。
https://38news.jp/economy/09997

そして、GDPデフレーターは2四半期連続の前年比マイナス。
もともと、国内経済の弱さを反映して「国内需要デフレーター」はさらに2四半期前、
すなわち2016年1-3月期から今回まで4四半期連続のマイナスとなっていますが、
ここに来て、GDPデフレーターをかさ上げしていた輸入物価の下落がやや収まったことで、
2014年以来途切れていたデフレ状況が、再び姿を現そうとしています。

もっとも、2014年のデフレーターの伸びの大半は消費税増税によるかさ上げですし、
増税の影響が一巡した2015年4-6月期以降の国内需要デフレーターの伸びが
最大でも0.1%に過ぎないことからすれば、
そもそもデフレ状況は2014年以降も途切れていないのが実態と言うべきかもしれません。

そして、こうしたデフレ状況の結果であり、かつその背景にもなっているのが賃金の停滞。
2月6日に発表された毎月勤労統計調査によれば、
2016年通年の実質賃金は5年ぶりのプラス、名目賃金も3年連続のプラスとなりましたが、
実質賃金の伸びが名目賃金の伸びを上回る、デフレ期特有の「名実逆転」現象もまた、
5年ぶりに生じています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF22H02_S7A220C1EAF000/

そもそも、名目賃金が3年連続のプラスとはいっても、
2016年の名目賃金は、リーマン・ショックで大きく落ち込んだ2009年とほぼ同じ水準。
そこに消費税増税という、経済の活性化とは無関係な物価上昇が加わったわけですから、
実質賃金の落ち込みはさらに深刻で、2009年の水準を3.4%も下回っています。

こうした状況では、経済において最大の需要項目である「家計消費」を中心とした
国内需要が停滞するのは当然の結果でしょう。
藤井さんが貧困化の指標として挙げた、エンゲル係数の急上昇もまた然りです。

やはり「アベノミクスで景気が回復し、雇用環境が改善している」というにはほど遠い。
むしろ、「バブル期以来の高い有効求人倍率の下ですら、その程度の賃金水準でしかない」
という事実を深刻にとらえるべき状況。
「雇用指標改善の要因は人手不足で、アベノミクスの成功ではない」というゆえんです。
https://38news.jp/economy/08132

こうした経済全体の需要不足、特に賃金の停滞を背景とした民間需要の停滞を補うのは、
本来ならば公的部門の需要である財政支出の拡大のはず。
ところがGDP統計によれば、公的部門の支出を示す「公的需要」は直近2四半期連続で、
なかでも公的固定資本形成すなわち公共投資に至っては、
何と5四半期連続で前年比マイナスとなっているのです。

こうした状況で先月行われた経済財政諮問会議では、アベノミクス4年間の成果として、
「デフレ脱却・経済再生への着実な進展」という見出しのもと、
「デフレマインドは依然根強い中、もはやデフレではない状況に。」と総括されています。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0125/shiryo_05.pdf

「デフレマインドは依然根強い中、もはやデフレではない状況に。」という表現自体
いかなる経済実態を指しているのか、そもそも意味不明ではありますが、
いずれにせよ「もはやデフレではない」と楽観するには程遠い状況であることは、
今回述べた様々なデータが示すとおりです。
直近の公的需要のマイナスが、そうした誤った事実認識を反映したものだとしたら、
日本経済はむしろ名実共にデフレの瀬戸際にある、極めて危うい状況ではないでしょうか。

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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