ホーム » 日本経済 » 財政支出が経済成長を規定するメカニズム

財政支出が経済成長を規定するメカニズム

三橋貴明の「新」経世済民新聞』に、「財政支出が経済成長を規定するメカニズム」というタイトルで寄稿予定です。
経済全体の需要(総需要)が民間企業の生産活動を決定する、という命題を突き詰めると、結局一国の経済成長を決めるのは財政支出の動向である(⇒日本経済の長期停滞は、政府の緊縮財政によるものである)ことを、データと共に解説しています。
(2017年3月23日追記:本日、下記サイトに掲載されました)
https://38news.jp/economy/10235

↓メルマガ申し込みはこちらから。
http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。

【島倉原】財政支出が経済成長を規定するメカニズム

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

先々週は青木泰樹さんより、「内閣府への助言「全要素生産性(TFP)を上昇させる方法」」
と題して、潜在GDPの算出要素である全要素生産性も、そして資本や労働の投入量も、
結局は総需要によって決定されているという議論が提起されました。
https://38news.jp/economy/10190

本稿ではそれを踏まえ、資本や労働の投入量が総需要によって決定される実態と、
その帰結として導かれる、政府支出の動向が一国の経済成長を規定するメカニズムを、
データと共に解説してみたいと思います。

青木泰樹さんは「経営者であればだれでも、需要予測をして、生産計画を立て、
そして諸資源の投入量を決めているのです」と述べられました。
そもそも、なぜ企業は生産活動を行うのでしょうか。
端的にいえば、生産した財やサービスを販売することで、お金が儲けられるからです。
主観的には「自分の事業目的は金儲けではない」と思っている経営者であっても、
利益が得られなければ資金繰りが続かなくなり、事業の存続自体が困難になることから、
最終目的ではないにせよ、結局は相応の利益獲得を目指さざるを得ないでしょう。

では、想定していた販売額が実現しなくなったらどうなるでしょう。
これまで通り設備投資や雇用にお金を投じていても、見込んでいたほどの売上は得られず、
残った利益は事業存続には不十分で、場合によっては倒産の危機に瀕してしまう。
背に腹は代えられず、おのずと設備投資や雇用の縮小に向かうことでしょう。

経済全体がこうした状況に陥ったのが、名目経済成長が止まった1998年以降の日本。
名目GDPとは金額ベースでの国民全体の所得であり、企業の利益もその一部に過ぎません。
名目経済成長がないところには、利益のパイの奪い合いこそあったとしても、
全体としての利益成長の機会は存在しないのです。

そうした状況では売上の見通しと共に、企業の設備投資意欲が低下します。
稼いだ利益以上の実物投資により、損益は黒字でも資金収支は赤字だったのが1997年以前。
ところが名目経済成長が止まり、デフレに陥った1998年以降は負債の返済が優先され、
「貯蓄投資バランス」と呼ばれる企業部門の資金収支は、大幅な黒字に転じています。


対して一時的な不況期を除き、資金収支が概ね赤字で推移しているのがアメリカ企業。
アメリカ企業というと自社株買いはじめ、「実物投資よりも金融投資」といったイメージを
お持ちの方もおられるかもしれませんが、それは個別企業毎の、いわばミクロレベルの話。
経済全体では利益以上の実物投資を行うことで、産業の新陳代謝が進んでいます。
むしろ(他者から見れば金融資産である)負債への資金充当(いわば投資)を優先し、
実物投資を怠って産業力を衰退させてきたのは日本企業の方なのです。

そして1998年といえば、名目賃金・実質賃金とも長期的な下落トレンドに転じた年。
こちらは企業の労働投入意欲、言い換えればヒトへの投資意欲が低下した結果。
そうなれば家計所得が伸び悩み、民間消費は必然的に停滞します。


このように、民間投資や民間消費を決定するのが企業の生産意欲であり、
その生産意欲を決定するのが(民間投資や民間消費もその一部である)総需要だとすると、
経済全体への貿易のインパクトが小さいという前提に立ち、論理的、構造的に考えれば、
経済における残りの需要項目である政府部門の支出、すなわち財政支出の伸び具合が、
一国の経済成長率をほぼ決定してしまう、と結論せざるを得ないでしょう。
そのことを端的に裏付けるのが、拙著『積極財政宣言』にも掲載した下記図表なのです。


※「本記事が参考になった」と思われた方は、各種ブログランキングボタンやSNSボタンのクリックをよろしくお願いします。
        にほんブログ村 経済ブログへ

   
   このエントリーをはてなブックマークに追加

〈島倉原からのお知らせ〉
緊縮財政が日本経済を長期停滞させている実態と、その背後にある経済学の誤りについて。
包括的かつ実証的に確認、検証されたい方は、是非こちらの一冊をどうぞ。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか
(二番目のURLはあらすじをまとめたブログ記事です)
http://amzn.to/1HF6UyO
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-94.html


先週行われたFRBの利上げを踏まえ、今後の金融市場全体の動向を、
前回利上げ後の状況と比較しながら考察しています。
↓「FRB利上げ後の金融市場」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-235.html

株式投資戦略シリーズの第3弾。
検討対象としてIT業界の雄、アマゾンとフェイスブックを取り上げています。
↓「投資対象としてのアマゾンとフェイスブック」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-234.html


↓『三橋貴明の「新」経世済民新聞』、メルマガ申し込みはこちらから。
http://www.mag2.com/m/0001007984.html


↓ツイッターでも情報発信しています。フォローよろしくお願いします。



↓フェイスブックページでも情報発信しています。「いいね!」よろしくお願いします。



↓執筆・講演・出演のご依頼等は、当ブログのメールフォームか、下記の問い合わせフォームからお願いいたします。
http://form1.fc2.com/form/?id=7f2d01cc919199d8


↓フェイスブック上で筆者をフォローされるにはこちら。
関連記事


会員限定の映画やTV番組が見放題! 100万曲以上の楽曲も聴き放題!! 今なら30日間無料体験募集中!!!



テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

tag : 日本経済 財政政策 投資 経済成長 三橋貴明

コメント

非公開コメント

最新記事
ブログ記事検索フォーム
カテゴリ別記事
おすすめの本

雇用、利子、お金の一般理論 (講談社学術文庫)


国力とは何か―経済ナショナリズムの理論と政策 (講談社現代新書)


公共事業が日本を救う (文春新書)


官僚階級論 霞が関(リヴァイアサン)といかに闘うか (モナド新書010)


戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する


国土学―国民国家の現象学 (叢書 新文明学4)


英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる (集英社新書)


アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)


〈凡庸〉という悪魔 (犀の教室)


危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)


仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実 (文春新書)
リンク
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール

島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

RSSリンクの表示
メールフォーム
メールでのご質問・ご意見等はこちらからお願いします。

お名前:
メールアドレス:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

おすすめの音楽

ザ・アイランド・イヤーズ(リマスター)(完全生産限定盤)


Piper at the Gates of Dawn


Doors


ジギー・スターダスト<2012リマスター>


十七歳の地図

ツイート一覧
QRコード
QR
FC2カウンター
FC2アフィリエイト
アフィリエイト・SEO対策