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過剰サービス問題を解決する真の処方箋

「新」経世済民新聞』に、「過剰サービス問題を解決する真の処方箋」というタイトルで寄稿しました。
応用経済学者である中島隆信・慶応義塾大学教授による、宅配便運賃値上げに代表される過剰サービス問題に関するミクロ経済学的観点からの分析を紹介しながら、結局は積極財政による日本経済の成長率引き上げこそが、問題解決の真の処方箋であることを述べています。
https://38news.jp/economy/10606

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以下では今回の記事を転載しています。


【島倉原】過剰サービス問題を解決する真の処方箋

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

ヤマト運輸の運賃引き上げ方針決定以降、サービス業における「過剰サービス」や
「人手不足」が話題に上ることが多くなりました。
そうした中、日本経済新聞の「経済教室」欄にも、「人手不足をどうみるか」と題して、
複数の経済学者が寄稿されています。
応用経済学が専門で、『大相撲の経済学』などの著書もある中島隆信氏もその1人です。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO17462310Y7A600C1KE8000/
http://amzn.to/2rWryLR

中島氏は、内容やコストに見合った市場評価がなされない過剰サービスの背景分析として、
サービス業そのものの成り立ちにさかのぼって分析しています。
現在では業者が提供しているサービスの多くは、家庭や地域コミュニティによって「内製」、
即ちカネのやり取りなしに提供されてきたもの(外食や保育などが典型でしょうか)。
ところが、産業の発達によって生活と仕事の場が分離され、家庭にせよ、地域社会にせよ、
そうしたコミュニティ内での時間や空間の共有が難しくなる一方で、
経済成長による所得の向上、言い換えれば人々の実質的な時給の上昇が相まって、
サービスは内製するよりもカネで買う方が割に合うようになった。
それに対応する形で、サービスの産業化が進んだと考えられる、としています。

ただし、サービスには大きく2つの要素が含まれている、というのが氏の議論。
1つは、内製されていたものを単純に市場化した性格の強い「インフラ系サービス」。
もう1つは、そこに業者独自の中身を付加したウェイトが高い「コンテンツ系サービス」。
中でも、「内製とカネで買うのとどちらが割に合うか」で判断されやすいのがインフラ系で、
経済成長が鈍化すると、価格の引き上げがより一層難しくなる、ということです。

実際に、1995年以降とそれ以前を比べると、1人当たり実質GDPの伸びと共に、
家賃、タクシー運賃、理髪料、大学授業料といった、
インフラ系サービスの価格の伸びも急激に鈍化している。
消費者が店に行くという行為を市場化したものと解釈できる宅配サービスもその1つで、
時間指定や再配達といったサービス向上も料金にはほとんど反映されない一方で、
顧客規模を必要とする事業特性を持つ結果、過剰サービス競争に陥りやすいとしています。

サービス産業化が進んだプロセスについては、異なる解釈も成り立つように思いますが、
所得の向上に伴ってサービスもカネで買う方が割に合うようになる、という部分と、
インフラ系サービスは経済成長鈍化と共に過剰サービスに陥りやすい、という部分は、
確かにその通りではないかと思います。

では、こうした問題にどう対処すべきなのか。
中島氏は、過剰サービス部分はこれまで「無償での『親切』」と見なされてきたが、
経済成長の鈍化により、そうした考え方を根本的に見直す時期に来ているとして、
海外での接客サービスへのチップ支払いのように「親切」を有料化するか、
人工知能(AI)などを用いて「親切」を機械化することが解決の処方箋と述べています。

しかしながら、氏自身も述べているように、
そうした「親切」は、本来あからさまにカネでやり取りするのはふさわしくないもの。
また、機械化で人間味が失われれば、サービスの低下につながる場合もあるでしょう。

そもそも、過剰サービスをもたらしたのは日本経済の成長鈍化という話でした。
そして、1990年代半ば以降に実質GDPの伸びが鈍化したのは、
政府の緊縮財政によって名目GDP、ひいては企業利益や家計所得が頭打ちとなり、
消費や投資の意欲が低下したから。
とすれば、積極財政で経済成長を取り戻すことこそが、真の処方箋ではないでしょうか。
https://twitter.com/sima9ra/status/719076491980439552

宅配便については以前、「宅配便値上げをもたらしたデフレ経済の限界」というタイトルで、
緊縮財政がもたらした実質賃金の低下、というマクロの観点から論じたことがありますが、
今回のようにミクロの論点から出発しても、やはり積極財政こそが採るべき政策なのです。
https://38news.jp/economy/10182

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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