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「アベノミクスとは何だったのか」

「新」経世済民新聞』に、「「アベノミクスとは何だったのか」」というタイトルで寄稿予定です。
消費税によるかさ上げ分を除いた「事実上の名目GDP」(国内全体の所得)は未だに1997年のピークを超えていない、という事実を指摘した上で、このままでは「アベノミクス=過剰な金融緩和による一時的なバブル」で終わりかねない状況であることを論じています。
(↓追記:2017年6月29日に下記の通り掲載されました)
https://38news.jp/economy/10685

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。


【島倉原】「アベノミクスとは何だったのか」

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

最近ほとんど話題にならなくなったアベノミクス「新3本の矢」。
安倍首相が発表したのは2015年9月24日のことでした。
このうち、第1の矢は「希望を生み出す強い経済」ということで、
2020年頃に名目GDP600兆円達成、という具体的な数値目標も掲げられました。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO92034300U5A920C1000000/

国内全体の所得を示す名目GDPの当時のピークは1997年の約537兆円(旧基準)。
その翌年から日本経済は長期デフレに陥りました。
デフレ下で伸び悩んできた名目GDPを過去最高水準に引き上げるというのは、
デフレ脱却の次なるステップとして、確かに筋が通っています。
その後2016年7-9月期には、GDP統計基準改定によるかさ上げ効果もあり、
名目GDPの季節調整値が、過去最高だった1997年10-12月期のそれを超えました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H0R_Y6A201C1MM0000/

ところが、以前から述べているように、
この名目GDPには「消費税によるかさ上げ」分も含まれています。
誰かの所得とは、別の誰かが支出することによってもたらされるもの。
支出は税込価格であることから、その合計である名目GDPには消費税分の金額が含まれ、
その分は「政府の所得」ということで、所得の合計としての名目GDPの一部ともなります。

とはいえ、GDPを「経済活動の順調さ」や「国民の豊かさ」を図る指標として用いるなら、
経済活動の結果に対して後から割り当てられる所得税や法人税ならいざ知らず、
予め政府の所得であることが決まっている消費税分を含めるのはいかがなものでしょうか。
極端な話、消費税分も含めて良いのであれば、消費税をさらに25%ほど引き上げれば、
一時的に600兆円を達成することは来年にでも可能でしょうが、それでは無意味でしょう。
それは、増税による物価上昇で、統計上デフレが解消されても無意味なのと同じことです。

ということで、名目GDPの季節調整値から消費税分を差し引いたのが、
こちらのグラフの赤い実線です。

【名目GDP(季節調整値及びそこから消費税分を控除した値)の推移(兆円)】


なお、各年度の消費税額は、国税分を表示したこちらの数字を基に、
地方消費税分を加味して算出しています。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.gif

今回のグラフを見ると、改定された現在のGDP統計基準の下でも、
消費税分を除いた事実上の名目GDPのピークは1997年1-3月期であり、
その後はITバブルやアメリカ住宅ローンバブルの時期に短期的なピークを形成しつつも、
徐々にその水準を切り下げてきたことがわかります。
そして、記録上は過去最高となった2016年度も、
実態としてはそうしたバブル期のピークすら下回っています。

しかも、本メルマガでも三橋貴明さんや藤井聡さんが述べている通り、
2017年1-3月期の名目GDPは、GDPデフレーターと共に前期比マイナス。
仮に、このまま名目GDPが縮小していくような事態になれば、

「アベノミクスとは、過剰な金融緩和によって一時的なバブルを起こしただけで、
デフレ脱却にはほとんど無効な政策だった」

というのが、今回のタイトルに対する後世の答えとなるのかもしれません。

2014年の消費税増税以降の日本経済は、いつそうなってもおかしくない状況にあります。
少なくとも事実上の名目GDPがピークを超え、その後も拡大を続ける状況になって初めて、
「日本はデフレから脱却した」と言うことが可能なのではないでしょうか。
そのために必要なのが財政支出の継続的な拡大であることは、言うまでもありません。

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↓「アマゾンが食料品スーパーを買収する必然性
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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