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通貨の本質から見た仮想通貨騒動

「新」経世済民新聞』に「通貨の本質から見た仮想通貨騒動」というタイトルで寄稿しました。
ビットコインをはじめとした、いわゆる仮想通貨の取引が一種のブームになっています。
しかしながら、その本質は価値の裏付けを持たない危険な投機に他ならず、本稿では安易にかかわることへの警鐘を鳴らしています。
https://38news.jp/economy/11149

↓『「新」経世済民新聞』のメルマガ配信登録はこちらから。
http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。


【島倉原】通貨の本質から見た仮想通貨騒動

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

最近、ビットコインをはじめとする、
いわゆる仮想通貨についての記事を
目にする機会が増えています。
急激な価格上昇が投機マネーを引き付け、
決済や資金調達上の用途が広がる一方で、
北朝鮮によるハッキングの対象になるなど、
様々な話題を提供しています。

一般的な通貨であれば、
法定通貨なら政府や中央銀行、
預金(通貨)なら民間銀行というように、
特定の管理主体が存在し、
発行量も経済状況などに応じて変動します。

ところが、仮想通貨に関しては、
そうした特定の管理主体は存在せず、
発行量や発行ペースは予め決まっています。
ビットコインの場合には、
インターネット経由で取引認証を処理した
「マイナー」と呼ばれる不特定の参加者に
報酬としてその都度付与する形で、
決まったペースで新規発行されています。

このビットコインを「詐欺」と評したのが、
世界の金融業界の大物の1人で、
アメリカ大手銀行JPモルガンチェースの
CEOであるジェイミー・ダイモン氏。
対して、ビットコインのマイニング企業、
MGTキャピタルのジョン・マカフィー氏は、
以下のように反論しています。

「ビットコインが詐欺とはどのような意味でしょうか。
私はマイナーであり、ビットコインをマイニングによって生み出しています。
1ビットコインをマイニングするには1000ドル以上のコストが計上されます。
その反対に、USドルを生み出すにはどの程度のコストが掛かるのでしょうか。
USドルは紙幣を刷れば生み出せますが、ビットコインはプルーフ・オブ・ワーク(註:取引認証のこと)のために大量のCPUパワーとハードウェアを動かす電気が必要になります。
詐欺的なのはどちらなのでしょうか。」
http://btcnews.jp/332p9ni412608/

要するに、ビットコインの方が
米ドルよりも発行にコストがかかるため、
価格が上昇するのは当然、という理屈。
おなじみの「金属主義」の発想にも似た、
「原価主義」ともいうべき反論でしょうか。

しかしながら、通貨を受け取る人にとって、
発行コストにいくらかかっているかなど、
明らかにどうでも良い話です。
問題はむしろ、他人からも価値を認められ、
支払手段として使えるかどうかでしょう。

では、通貨はなぜ社会で通用しているのか。
三橋貴明さんも述べておられるように、
通貨は元々誰かの債務証書として発行され、
その「債権」としての経済価値が
社会に認められることで定着したもの。
中央銀行が発行する法定通貨であれば、
多くの人が支払い義務を負っている
「税金」の支払手段に使えることが、
究極的には価値の裏付けとなっています。

むしろ、取引を円滑化する観点からは、
発行・流通コストは安い方が望ましい。
そもそも、債務証書という本質からすれば、
財力に乏しい人ほど発行ニーズがある訳で、
そのコストが高い方が価値も高いなんて、
仕組みとしては明らかな欠陥ですよね。

だからこそ、通貨の素材は金属から紙、
そして形の無いデジタルデータへと、
より低コストに「進化」してきたのです。
「素材価値の高い通貨」といえば
真っ先に思い浮かぶであろう金貨にしても、
古代ギリシャのリディア王国で
なぜ最初に造られたのかといえば、
砂金が豊富に採れた同国では
金はむしろ低コストな素材だったから、
と考えればつじつまも合っています。
裏を返せば、高コストなビットコインは、
そうした進化に逆行しているのです。

そもそも、誰の債務でもない仮想通貨には、
究極的な価値の裏付けが存在せず、
通貨としての根本要件が欠落しています。
仮想通貨による取引を成立させているのは、
「他人がもっと高値で買ってくれる」
という単なる投機的な思惑だけ。

すなわち、仮想「通貨」と呼ぶこと自体が、
そもそも誤っているのです。
また、ダイモン氏も述べているように、
投機対象として見ても、実用性があるだけ、
17世紀オランダで投機の対象となった
チューリップ球根の方がまだましでしょう。

こうした危うい実態があるにもかかわらず、
今や日本の個人が取引の主役ということで、
ネット証券をはじめとして、
仮想通貨を「事業」として扱おうという
企業が増えているようです。
バブルが崩壊して人々が損失を被っても
「自己責任」で押し切るのでしょうが、
北朝鮮関連の政治的リスクも存在する中で、
あまりに無責任な態度ではないでしょうか。


〈島倉原からのお知らせ〉
通貨の低コストな発行と共に行うべき政策。
それが積極財政政策であることは、
この一冊からも明らかです。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか



メルマガ『島倉原の経済分析室』では、
経済や金融のタイムリーな話題について、
独自の観点から分析しています。
以下は直近記事のご紹介です。

量的金融緩和を続けてきたFRBが、
段階的な資産の縮小を決定しました。
その影響を多面的に考察しています。
↓「FRBの資産縮小がもたらすもの」
http://foomii.com/00092/2017092400000041374

史上最高値の更新を続けるアメリカ株。
「まだバブルではない」という論調が、
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実際のところはどうなのか、
より長期的な観点から検討しています。
↓「アメリカ株のバブルのサイクル」
http://foomii.com/00092/2017100101105841512

↓その他、バックナンバーはこちらをご覧下さい。
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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