非労働力人口が示す雇用の劣悪化
『「新」経世済民新聞』に「非労働力人口が示す雇用の劣悪化」というタイトルで寄稿予定です。
24年ぶりとなる失業率の低下を受けて、相変わらず「雇用が改善している」と報道されていますが、働き盛りの男性の労働市場からあぶれた人数を示す「非労働力人口」は過去最高水準で推移しており、その意味では雇用環境は過去最悪と言ってもいいほど劣悪化しているのが実態であることを論じています。
(↓2017年12月28日追記:下記の通り掲載されました)
https://38news.jp/economy/11465
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http://www.mag2.com/m/0001007984.html
以下では今回の記事を転載しています。
【島倉原】非労働力人口が示す雇用の劣悪化
From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)
12月26日、総務省の「労働力調査」が
発表されました。
完全失業率は2.7%と24年ぶりの低水準。
例によって「雇用改善が一段と進んでいる」
と報道されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25077110W7A221C1MM0000/
これまで何度も述べてきたことですが、
過去の失業率との単純な比較は誤解のもと。
女性、学生世代、高齢者の労働参加状況は、
時代と共に大きく変化しています。
ところが、報道される失業率などには
こうした人々の動向も含まれるため、
表面的な数字が24年前と同じであっても、
経済環境や雇用環境の良し悪しが
当時と同水準であるとは言い難いのです。
特にこうした人々の場合、
総じて低賃金の非正規雇用の割合が高く、
就業人口が増えて失業率が低下しても、
雇用がそれほど改善しているわけではない。
さらに、女性なら亭主の稼ぎ、
高齢者なら貯蓄や年金だけでは足りない、
あるいは学生世代なら進学する余裕がない
といったように、
経済環境の厳しさ故に就業している場合が
相対的に多いグループでもあるのです。
したがって、全体の失業率が同水準なら、
経済環境は24年前よりも確実に悪いはず。
そして、過去と比較する場合には、
働き盛り、具体的には25~54歳男性の
就業状況の推移をたどるのが最も合理的。
これまた以前から述べている通りです。
というわけで、今回は25~54歳男性の、
人口、そして労働市場からあぶれた
「非労働力人口」の推移を見てみましょう。
↓【参考図表:25~54歳男性の人口及び非労働力人口の推移(単位:万人)】
25~54歳男性人口のピークは2001年。
そこから急激な減少が始まり、
今や42年前と同水準です。
これが人手不足の背景となっている訳です。
それだけ人手不足であれば、
非労働力人口もさぞ減少しているはず。
ところが現実にはこの6年あまり、
過去最高水準で推移しています。
その意味では人手不足の影響を除けば、
雇用環境はリーマン・ショック直後よりも
劣悪化しているとすら言えるのです。
こんな国の経済環境が良いはずも、
経済政策が適切であるはずもありません。
「アベノミクスは上手く行っている」
「民主党政権時代よりはマシ」
という方がおられるとしたら、
それは単なる思い込みなのかもしれません。
〈島倉原からのお知らせ〉
1)では適切な経済政策とは何か。
その答えが積極財政政策であることを
解き明かしたのがこの1冊です。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』


2)メルマガ『島倉原の経済分析室』では、
経済や金融のタイムリーな話題について
独自の観点から分析しています。
以下は直近記事のご紹介です。
「今年は10年に一度の金融危機の年」
というジンクスがあったのですが、
それはどうやら外れたようです。
果たして金融危機のサイクルは
消えてしまったのか。
来年を展望しつつ、改めて考察しています。
↓「金融危機のサイクルは消滅したのか」
http://foomii.com/00092/2017122400000043143
アメリカの連邦通信委員会が、
「ネット中立性」原則を撤廃しました。
このことが持つ長期的な意味を、
経済の長期循環の観点から考察しています。
↓「ネット中立性原則撤廃と長期循環」
http://foomii.com/00092/2017121701053543009
↓その他、バックナンバーはこちらをご覧下さい。
http://foomii.com/00092/articles
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24年ぶりとなる失業率の低下を受けて、相変わらず「雇用が改善している」と報道されていますが、働き盛りの男性の労働市場からあぶれた人数を示す「非労働力人口」は過去最高水準で推移しており、その意味では雇用環境は過去最悪と言ってもいいほど劣悪化しているのが実態であることを論じています。
(↓2017年12月28日追記:下記の通り掲載されました)
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以下では今回の記事を転載しています。
【島倉原】非労働力人口が示す雇用の劣悪化
From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)
12月26日、総務省の「労働力調査」が
発表されました。
完全失業率は2.7%と24年ぶりの低水準。
例によって「雇用改善が一段と進んでいる」
と報道されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25077110W7A221C1MM0000/
これまで何度も述べてきたことですが、
過去の失業率との単純な比較は誤解のもと。
女性、学生世代、高齢者の労働参加状況は、
時代と共に大きく変化しています。
ところが、報道される失業率などには
こうした人々の動向も含まれるため、
表面的な数字が24年前と同じであっても、
経済環境や雇用環境の良し悪しが
当時と同水準であるとは言い難いのです。
特にこうした人々の場合、
総じて低賃金の非正規雇用の割合が高く、
就業人口が増えて失業率が低下しても、
雇用がそれほど改善しているわけではない。
さらに、女性なら亭主の稼ぎ、
高齢者なら貯蓄や年金だけでは足りない、
あるいは学生世代なら進学する余裕がない
といったように、
経済環境の厳しさ故に就業している場合が
相対的に多いグループでもあるのです。
したがって、全体の失業率が同水準なら、
経済環境は24年前よりも確実に悪いはず。
そして、過去と比較する場合には、
働き盛り、具体的には25~54歳男性の
就業状況の推移をたどるのが最も合理的。
これまた以前から述べている通りです。
というわけで、今回は25~54歳男性の、
人口、そして労働市場からあぶれた
「非労働力人口」の推移を見てみましょう。
↓【参考図表:25~54歳男性の人口及び非労働力人口の推移(単位:万人)】
働き盛りの男性が激減する一方で、労働市場からあぶれた「非労働力人口」は過去最高水準。
— 島倉 原 (@sima9ra) 2017年12月27日
失業率が低水準なのは単に生産年齢人口減少が原因で、こんな国の経済環境が良いはずも、経済政策が適切であるはずもありません。
↓参考記事「非労働力人口が示す雇用の劣悪化」https://t.co/ZFIX3CE9xV pic.twitter.com/D8QhUpnvSD
25~54歳男性人口のピークは2001年。
そこから急激な減少が始まり、
今や42年前と同水準です。
これが人手不足の背景となっている訳です。
それだけ人手不足であれば、
非労働力人口もさぞ減少しているはず。
ところが現実にはこの6年あまり、
過去最高水準で推移しています。
その意味では人手不足の影響を除けば、
雇用環境はリーマン・ショック直後よりも
劣悪化しているとすら言えるのです。
こんな国の経済環境が良いはずも、
経済政策が適切であるはずもありません。
「アベノミクスは上手く行っている」
「民主党政権時代よりはマシ」
という方がおられるとしたら、
それは単なる思い込みなのかもしれません。
〈島倉原からのお知らせ〉
1)では適切な経済政策とは何か。
その答えが積極財政政策であることを
解き明かしたのがこの1冊です。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』
2)メルマガ『島倉原の経済分析室』では、
経済や金融のタイムリーな話題について
独自の観点から分析しています。
以下は直近記事のご紹介です。
「今年は10年に一度の金融危機の年」
というジンクスがあったのですが、
それはどうやら外れたようです。
果たして金融危機のサイクルは
消えてしまったのか。
来年を展望しつつ、改めて考察しています。
↓「金融危機のサイクルは消滅したのか」
http://foomii.com/00092/2017122400000043143
アメリカの連邦通信委員会が、
「ネット中立性」原則を撤廃しました。
このことが持つ長期的な意味を、
経済の長期循環の観点から考察しています。
↓「ネット中立性原則撤廃と長期循環」
http://foomii.com/00092/2017121701053543009
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