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短期の錯覚と長期の現実

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回のタイトルは「短期の錯覚と長期の現実」、本ブログでも紹介している「チャンネルAjer」でのプレゼン「公共事業は人手不足解消の処方箋」の内容をもとにしています。。

↓メルマガ登録はこちらです。
http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。




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【島倉原】短期の錯覚と長期の現実

From 島倉原@セゾン投信

おはようございます。
先週、チャンネルAJERで「公共事業は人手不足解消の処方箋」というプレゼンテーションを行いました。

ネットでの情報収集は別として、メディアと言えば普段は日本経済新聞くらいしか触れていないのですが、土木・建設業が人手不足の中で公共事業を拡大することに対して、あたかも(小売・外食業界の出店にブレーキをかける、という意味で)民業圧迫であるかのように批判的ニュアンスで取り上げている記事を、今年になってから時折目にするようになりました。
http://s.nikkei.com/MXwgRz
http://s.nikkei.com/1q7MrZk

経済学者、エコノミストによるこちらの論稿にも、同じような趣旨が含まれています。
(参考)
原田泰「[アベノミクス第二の矢]ついに暴かれた公共事業の効果」
http://blogos.com/article/86961/
河野龍太郎「アベノミクスに4つの誤算、円安のデメリットが顕在化」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140822/270195/?P=3

前者については、藤井聡さんが本メルマガで取り上げておられていたので、読者の皆様にはおなじみでしょう。
(参考)
藤井聡「原田泰氏の反論を『検証』しました」
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/05/13/fujii-89/

こうした批判記事を目にするたびに、

「でも、大手小売業が破たんしたり、経営統合したりするたびに、『小売はデフレ不況下で売上が落ち込んでいるにもかかわらず、売場面積を拡大している供給過剰業種であることが背景にある』というトーンで報道していたはずなのに、変だなあ」

と思わずにはいられませんでした。
当時の日本経済新聞の記事を見つけることはできなかったのですが、10年程前の同紙にもたびたび登場され、そうした分析を披露されていた松岡真宏さん(当時はUBS証券のアナリスト)の下記コメントは、私の違和感を裏付けているのではないかと思います(ちなみに、この方については「発言や分析に一貫性のある真っ当な事例」として取り上げていますので、念のため)。
(参考)
「小売業界は過剰店舗が解消、価格転嫁進む=松岡フロンティア・マネジメント代表」(ロイター、2013年4月17日)
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPTK065784920130417

こうした違和感に基づいて、

「民業圧迫って言うけど、震災復興や国土強靭化には公共事業の拡大が不可欠では?」
「そもそも緊縮財政で公共事業を半減させたことで土木・建設業界がリストラに迫られて供給力が減少したのだから、その逆を続けていれば供給力もいずれ復活するのでは?」
「そもそも小売・外食業界は供給過剰だったのだから、『出店に歯止め=需給バランスの適正化=経営効率の向上』なのでは?」
「積極財政で日本経済全体が成長すれば、小売・外食業界全体の売上が拡大するのに、どこが『民業圧迫』??」
「短期的に『民業圧迫』に見えるとしても、間違った政策を15年余り続けてきたのだから、軌道修正にある程度時間がかかっても、まあ、しょうがないですよね。」

↓というストーリーでまとめたのが今回のプレゼンテーションです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-59.html

今回取り上げた「違和感を覚える言論」には、「手を替え品を替えての公共事業叩き」という側面もあるのでしょうが、それとは別に、「短期的な視野にとらわれた錯覚」が多分に影響しているような気がします。

「長期にわたる緊縮財政が土木・建設業界の供給力を落ち込ませたという現実」
「小売・外食業界が供給過剰状態であるにもかかわらず出店を拡大してきた現実」

を見落として(前者については「『需要が供給(力)を生み出す』という現実を忘れた主流派経済学への固執」とも言えるでしょう)、

「供給力不足の分野で需要を拡大するなんて、これぞ政府の非効率、民業圧迫だ!!」

という一見もっともらしい論理に酔っているのでしょう。
同じようなことは、

「政府の借金がGDPの倍以上あるのだから、財政支出はこれ以上増やしてはならない!!」(「名目GDPに対する政府の借金の比率」は、むしろ緊縮財政で経済成長&税収が停滞したことで上昇している、という長期的な現実を無視)

「財政赤字がこれだけ膨らんでいるのだから、消費税の増税は避けられない!!」
(財政赤字は景気循環の底の局面でもともと拡大しやすい性質を持っており、かつ緊縮財政をするほど拡大してしまう、という長期的な現実を無視)

といった言論にも当てはまるように思います。
(参考)
島倉原「日本経済の成長&景気循環メカニズム」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-36.html
島倉原「金融循環がもたらす経済危機?」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-54.html

一見すると単純明快でもっともらしいところが厄介なのですが、こうした短期的な錯覚にとらわれないためには、視野を広げて「長期的な現実」を確認し、判断していくしかないでしょう。

ところでこういった話になると、職業柄(?)、ついつい株式市場のことを思い浮かべてしまいます。
「美人投票」(by ケインズ)よろしく短期的な思惑に左右される株式取引における成功は、あくまで個々人レベルの損益結果で測られるため、短期的な視点に基づく成功法が無いわけではありません。
それでもなお、「長期的な視点での『投資』」こそが、いわゆる「達人」のみならず、大半の人々にとっても成功の王道と言われています。
http://bit.ly/1ruqM48
ましてや、「経世済民」あるいは「公共の福祉」を旨とすべき経済政策において長期的な視点を忘れては、成功など到底おぼつかないと思うのですが…。
単純に割り切れた方が楽なので、ついついワナにハマってしまうのでしょうね。

というわけで、長期的な視点を忘れないための参考として、

↓今さらですが、「なぜ公共事業が大切なのか」を確認するなら、
http://amzn.to/1qFyemw
http://amzn.to/1qbmMld

↓ややマニア向けですが、「株式市場における、短期的な群集心理と長期的な大局観のせめぎ合い事例」を達人の視点からまとめてあり、なかなか興味深い内容です。
http://amzn.to/VKlkLV

↓「長期的な株式投資」について、より入門的・実践的な知識を得たいのであれば…。
http://amzn.to/1qbnhvz
https://www.youtube.com/watch?v=ilBsR1PvQ4k
(2番目の動画は手前味噌ですが、勤め先の投資初心者向けセミナーの模様を撮影したものです)

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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