ホーム » 日本経済 » 「財政健全化」と「緊縮財政」は似て非なるもの

「財政健全化」と「緊縮財政」は似て非なるもの

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回は「『財政健全化』と『緊縮財政』は似て非なるもの」というタイトルで、積極財政によってむしろ財政赤字が縮小することを説いたチャンネルAJERでのプレゼン「積極財政こそが財政健全化を実現する」(下記URL参照)を叩き台にしています。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-69.html

↓メルマガ登録はこちらです。
http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。




人気ブログランキングへ

にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
【島倉原】「財政健全化」と「緊縮財政」は似て非なるもの

From 島倉原@評論家

おはようございます。
今回は、先週「チャンネルAJER」に出演して行った「積極財政こそが財政健全化を実現する」というプレゼンテーションに関するお話です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-69.html

このプレゼンテーションは、タイトルが示す通り、

「積極財政を行うと政府の財政は健全化し、緊縮財政を行えば政府の財政は逆に悪化する(現実にこの15年、緊縮財政を行うことで財政は悪化してきた)」

という内容です。

こう書くと、

「アレ、財政健全化って緊縮財政のことじゃないの?」

と思われた方もいるかもしれません。
確かに、「財政健全化(あるいは財政再建)のためには、支出の抑制や増税(すなわち、緊縮財政)は避けられない」というのが、マスメディアで当たり前のように報道される内容です。

(参考記事)政府、補正予算の対応に苦慮 歳出削減危うく、公共工事進まず(産経ニュース、2014年10月23日)
http://www.sankei.com/economy/news/141023/ecn1410230040-n1.html

かつて「第4の矢は財政健全化」と述べた大臣も、よもや「積極財政」を念頭に置いていたわけではないでしょう(念頭に置いていたとすると、「第2の矢=機動的な財政政策」が別途存在することと、一見ツジツマが合わなくなりますから)。

(参考記事)財政健全化を「第4の矢に」 諮問会議、骨太方針策定へ(日本経済新聞、2013年5月28日)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS28043_Y3A520C1EA2000/

でも、ちょっと待ってください。
そもそも「財政健全化」って何でしょう?

「政府の収入から支出を差し引いた『収支』のプラスがより拡大する(あるいはマイナスがより縮小する)」という「結果」あるいは「状態」のことですよね(上記引用記事でも明らかにそういった意味で使われています)。

これに対して「緊縮財政」とは、収入を増やそうとする(→増税や公共サービスの値上げ)、あるいは支出を減らそうとする「行為」に過ぎません。
したがって、緊縮財政と財政健全化は概念としてイコールではありませんし、緊縮財政という行為が本当に財政健全化という結果につながるかどうかも、自明のことではないのです。

「でも、家計が苦しければ仕事を増やしたり節約して収支を改善するのが当たり前。だったら緊縮財政をすれば財政が健全化するのは常識でしょ?」

本当でしょうか?
実はこの「常識」も、「自分が行為を変えたとしても、自分以外の人々の行為が全く変わらない」という前提が成り立たなければ、常に正しいとは限らないのです。

実際は、

「誰かの支出は、別の誰かの所得である」
「誰かの収支が改善する時は、別の誰かの収支が悪化している(経済全体では、収支合計は常にゼロになるため)」

という「常に正しい前提」が存在するがゆえに、

「政府が緊縮財政を行うと、所得を減らされた民間部門が支出を減らそうとするため、経済全体の所得(=GDP=国内総所得=国内総支出)が減少し、GDPの影響を受ける政府の収入(税収)にも減少圧力が働く」

のが現実の経済です(積極財政を行った場合には、この逆のプロセスが生じます)。

つまり、財政収支への影響を考えれば、

緊縮財政=ミクロレベルではプラス要因、マクロレベルではマイナス要因
積極財政=ミクロレベルではマイナス要因、マクロレベルではプラス要因

というように、どちらの政策にも「財政健全化」にとってプラス、マイナス両面が存在するのです。

したがって、緊縮財政が財政健全化につながるとは限らないどころか、積極財政が財政健全化をもたらす可能性さえあるのです。
だとすれば、プラスの影響がより大きいのはどちらの政策なのか、事実に基づく検証が行われるべきなのは言うまでもないでしょう。

そして、事実は冒頭に述べた結論、

「積極財政を行うと政府の財政は健全化し、緊縮財政を行えば政府の財政は逆に悪化する」

が妥当であることをどうやら示しているのです。
その実現メカニズムを詳しく述べたのが、今回のプレゼンテーションです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-69.html

しかも、緊縮財政は財政悪化をもたらしているのみならず、企業の国内投資意欲を失わせ、産業空洞化や雇用環境の悪化を招いています。
だとすれば、今行うべきなのは緊縮財政か積極財政か、自ずと明らかではないでしょうか。
http://on.fb.me/1wUHmu8

(島倉原からのお知らせ1)
世界経済の先行きに不安がささやかれる中、史上最高値を更新しているアメリカ株の上昇トレンドはこのまま続くのか。アメリカのGDP統計を手がかりに、経済政策や国際情勢の視点も交えて考察してみました。
手前味噌ですが、株式投資に全く興味がない方にとっても、経済動向を展望する上で参考になるかもしれません。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-70.html

(島倉原からのお知らせ2)
フェイスブックページを開設しました。「いいね!」よろしくお願いします。
https://www.facebook.com/shimakurahajime

PS
三橋貴明公式YouTubeチャンネルでは最新動画を続々公開中
https://www.youtube.com/user/mitsuhashipress/videos

↓「三橋貴明の『新』日本経済新聞」、メルマガ登録はこちらです。
http://www.mag2.com/m/0001007984.html




人気ブログランキングへ

にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
関連記事


会員限定の映画やTV番組が見放題! 100万曲以上の楽曲も聴き放題!! 今なら30日間無料体験募集中!!!



テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 財政政策 財政赤字 積極財政 緊縮財政 経済成長 三橋貴明

コメント

非公開コメント

No title

そんな単純なのですか?
最新記事
ブログ記事検索フォーム
カテゴリ別記事
おすすめの本

雇用、利子、お金の一般理論 (講談社学術文庫)


国力とは何か―経済ナショナリズムの理論と政策 (講談社現代新書)


公共事業が日本を救う (文春新書)


官僚階級論 霞が関(リヴァイアサン)といかに闘うか (モナド新書010)


戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する


国土学―国民国家の現象学 (叢書 新文明学4)


英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる (集英社新書)


アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)


〈凡庸〉という悪魔 (犀の教室)


危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)


仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実 (文春新書)
リンク
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール

島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

RSSリンクの表示
メールフォーム
メールでのご質問・ご意見等はこちらからお願いします。

お名前:
メールアドレス:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

おすすめの音楽

ザ・アイランド・イヤーズ(リマスター)(完全生産限定盤)


Piper at the Gates of Dawn


Doors


ジギー・スターダスト<2012リマスター>


十七歳の地図

ツイート一覧
QRコード
QR
FC2カウンター
FC2アフィリエイト
アフィリエイト・SEO対策