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経済政策の乱気流

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回は「経済政策の乱気流」というタイトルで、衆議院解散に代表される様々な政策イベントに振り回される近頃の経済・金融動向についてつづってみました。

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。




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【島倉原】経済政策の乱気流

From 島倉原@評論家

おはようございます。
今回は、政治に振り回される近頃の経済・金融動向について、思いつくままに述べてみたいと思います。
ちなみに今回のタイトルは、こちらの本から連想したものです。特に脈絡はありませんが、ご参考まで。
http://amzn.to/1HcOsz0

まずは今週月曜に発表された、7-9月期のGDP第1次速報値。
駆け込み需要の反動減があった4-6月期からリバウンドするどころか、さらにマイナスになろうとは…さすがに驚きました。
http://on.fb.me/1vjEysc

今回のマイナス成長の直接的な要因は「在庫の取り崩し」で、それを除けばプラス成長、と言えなくもありません。
とはいえ、下記リンク先でも示したとおり、民間企業設備投資は前期比マイナスですし、かろうじてプラスだった民間消費にしても17年前よりも低調で、停滞感は明らかです。
ことによると今回の結果は、「緊縮財政を続けてきたことによって、日本経済が景気変動のショックに対して以前より弱体化している」という悲しい現実を示しているのかもしれません。
http://on.fb.me/1wQ8KGi

ちなみに17年前の7-9月期といえば、タイの通貨バーツが変動相場制に移行し、アジア通貨危機の引き金が引かれたのがちょうど1997年の7月。
今回はそうしためぼしいイベントが無い一方で、経済の悪化度合いは当時を上回っています。
まさか、当時よりもより一層深刻な景気後退を示している国内経済の状況を、ウクライナ危機を含めたロシア・東欧地域の経済動向のせいにするわけにもいかないでしょう。

他方で、日本経済への影響度は別として、7月以降のユーロ安のトレンドとともに、同地域の新興国市場(下記リンクはギリシャ、ロシア、ハンガリー)のパフォーマンスが著しく低下しているのは事実です。
http://on.fb.me/1uqyCdx
http://on.fb.me/1qSh1rd
http://on.fb.me/1u6bT2D

11月に入ってからも、ロシア中央銀行が為替介入額を制限したのち、自国通貨ルーブルを変動相場制に移行させるというイベントが発生しています。
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPL4N0SV4EO20141105
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0IU0QO20141110

こうした動きは17年前のアジア地域の動向を想わせるところもあり、以前本メルマガでも可能性を論じた「ロシア・東欧地域発の新興国危機」に至るのかどうかはともかくとして、引き続き注目されるところです。

(拙ブログからの参考記事)
「新興国危機が起こるとしたら…」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-66.html
「アメリカ株の先行きをどう考えるのか」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-70.html

さて、日本経済に話を戻します。
ことここに至っては、17年前も今回も緊縮財政こそが景気後退の真犯人であり、財政政策を軽視したアベノミクスの欠陥が図らずも露呈した、と認識すべきでしょう。
こうした状況で、なぜ追加増税凍結の是非を問う解散総選挙を行うことになるのか、理解に苦しむところです。
増税を凍結したいなら、現在の多数派与党の下でまずは増税凍結法案の成立を図るのが王道で、そうでないなら失政の責任を取って内閣総辞職をするのが筋でしょう。
何せ、百点満点の内容かどうかはともかくとして、増税凍結法案自体は既に国会に提出されているのですから。
http://www.sankei.com/politics/news/141104/plt1411040024-n1.html

それとも、現政権の真の狙いは「景気条項を削除した増税法案を成立させ、緊縮財政を確実に前進させる」ことにあるのでしょうか?
直観的なものに過ぎませんが、経済政策についての正しいビジョンを持たない関係当事者の思惑を超えて、そうした流れができつつあるかのような危惧を覚えます。
例えば下記のインタビュー記事などは、「もはやアベノミクスなど支持するに足らないことが明確になった」というメッセージなのかもしれません(おそらく、ご本人の思惑とは異なるのでしょうが)。
http://mainichi.jp/select/news/20141119k0000m010171000c.html

経済政策の柱となるべきもの、それは積極財政です。
前回(先々週)寄稿した「『財政健全化』と『緊縮財政』は似て非なるもの」という記事では、

「財政支出を拡大する『積極財政』を行うことが、経済のマクロなメカニズムを通じて、単年度の政府の収支を改善する『財政健全化』をもたらす」

と述べました(お忘れの方は、同記事、および拙ブログの下記記事をご覧ください)。

(拙ブログからの参考記事)「積極財政こそが財政健全化を実現する」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-69.html

これに対して、藤田昭仁さんという方から、「日本の財政の借金漬けの状態を放置しておいて、健全な財政とは言えないのではないか」という趣旨のコメントを、「新」日本経済新聞のWebサイト上でいただきました。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/11/06/shimakura-9/

ここでいう「借金漬けの状態」とは、恐らく「国際的に見て突出して高い、日本の名目GDPに対する日本政府の債務残高の比率」のことを指しているのではないかと思われます。
マスメディア等で取り上げられるのは単年度の財政赤字よりもむしろこちらの指標で、積極財政に対して「なんとなく」ネガティブな印象を多くの国民に与えているのもこちらでしょう。
したがって、同指標についての明確な説明も用意しなければ片手落ち、という意味では、藤田さんのご指摘はもっともなものだと思います。

実はこのテーマについては、来週のチャンネルAjer出演とも合わせて、次回のメルマガでご説明するつもりでおります(おりました)。
これもまた、「緊縮財政こそが日本の長期不況の原因である(積極財政こそが経済成長をもたらす)」という現実的な前提に立てば、

「いわゆる『政府の借金漬けの状態』(あるいは『国の借金問題』)も、積極財政によって解決することができる」

という結論をある程度簡明に提示できるのではないか、と考えている次第です。
乞うご期待!?

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https://www.facebook.com/shimakurahajime

PS
2017年の消費増税が決定! 日本経済は底割れへと向かうのか?
http://youtu.be/FYzYGcCtZpI

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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