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奇妙な世界に

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回は「奇妙な世界に」というタイトルで、無制限為替介入を取り下げたスイスの話題から始まって、その背景にあるユーロ圏の緊縮財政、さらには主流派経済学的な誤った世界観が2001~2006年の小泉政権に対する過大評価につながり、プライマリーバランス目標をはじめとした、近視眼的な緊縮財政につながっている日本の状況について述べています。
なお、今回のタイトルは、メルマガ本文でも紹介しているように、アメリカのミュージシャンであるボブ・ディランの「奇妙な世界に」というカバー・アルバムから採っています。書いていてふと思い浮かんだだけなのですが、タイトル曲の「世界が間違っているから、自分もまともになれない」というテーマが、今回の内容とダブるような気がしました。

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。




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【島倉原】奇妙な世界に
From 島倉原@評論家

おはようございます。
図らずも、金利動向を題材として金融危機について論じた前回寄稿の当日、スイス国立銀行による無制限為替介入の終了が発表され、スイスフランが暴騰しました。
その後の欧州中央銀行の量的金融緩和と相まって、ユーロ安傾向がいつまで続くのかは、予断を許さない状況です。
http://tfx.jfx.jiji.com/market/fx/chart?code=EUR%2FCHF
http://tfx.jfx.jiji.com/market/fx/chart?code=EUR%2FUSD

下記の記事などを読むと、やはり気になるのは、米ドル建てやスイスフラン建ての債務負担が東欧諸国などに与えるダメージなのですが、果たしてどうなることやら。
反緊縮派が総選挙で勝利したギリシャ、そして外貨建て国債が投資不適格級に格下げされたロシアとの絡みも引き続き見逃せないところです。

(参考記事)
スイス中銀、スイスフラン高抑制の無制限介入終了(日本経済新聞、2015年1月15日)
http://www.nikkei.com/markets/features/12.aspx?g=DGXLASGM15H7E_15012015000000

こうした一連の問題は、実はユーロ圏の経済不振と同根で、ドイツを中心とするユーロ圏諸国が緊縮財政のワナから逃れられない限り、根本的な解決は難しいでしょう。

そもそも、スイスは輸出入合計がGDPの9割前後に達するほど貿易依存度が高く、リーマン・ショックおよびユーロ危機後の自国通貨高が経済不振をもたらすことを懸念して通貨介入に乗り出した。
結果、自国通貨高は止まり、実質実効レートではむしろ自国通貨安トレンドになったものの、国内のデフレは止まらず(「名目レート安定+国内デフレ⇒実質レート安圧力」なので、ここの記述はやや循環論法的なのですが)、ユーロ圏向け輸出も相変わらず低調。
もともとスイスフランは強い通貨(20世紀を通じて、唯一米ドルに「勝った」主要通貨でもあります)で、自国通貨高は今に始まったことではない。
こうした事実を踏まえると、問題の本質はスイスフラン高というよりむしろ、「主な取引先であるユーロ圏の(緊縮財政による)需要不振」であると考えられます。

そして、実はこの構図、「日銀の金融緩和不足が円高・デフレ不況をもたらした」というリフレ派の主張が、「1990年代後半以降、円の実質実効為替レートはむしろ円安傾向である」という長期的な事実と明らかに矛盾しているのと、本質的には同じものと言えるでしょう。
実際、マネタリーベースがGDPの60%を超えるまで行われたスイスの金融緩和は、黒田バズーカのはるか先を行っていたわけですが、それでも問題は解決しなかったわけですから。

(参考記事)
円の「実力」40年で最低(日本経済新聞、2014年12月7日)
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDF06H0J_W4A201C1MM8000/
積極財政こそが成長戦略(島倉原ブログ、2014年5月27日)
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-51.html

さて、緊縮財政といえば、目先のプライマリーバランス改善にこだわって緊縮財政に走ることの弊害について、本メルマガでも藤井聡さんが繰り返し論じておられます。
そのような誤った政策判断がなされる背景には、量的金融緩和・緊縮財政・構造改革の政策パッケージの下で、戦後最長の景気拡大とプライマリーバランス改善が実現した小泉政権期に対する誤った過大評価があるのではないか。
そうした問題意識の下、先週のチャンネルAJERで行ったプレゼンテーションが、「小泉政権期の正しい評価」です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-79.html

以前本メルマガでも述べたように、プライマリーバランスは名目GDP成長率の上昇に追随して改善します。
そして、名目成長率の上昇をもたらすのは積極財政であることも長期的な事実。
だとすればプライマリーバランスを改善し、「国の借金」問題を解決するのも積極財政であるのは論理的な結論であり、これまた本メルマガでも述べたとおりです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-73.html

にもかかわらず、緊縮財政を推進した小泉政権期に、なぜ戦後最長の景気拡大とプライマリーバランス改善が実現したのか?
それを説明するのが、これまた本メルマガでしばしば取り上げている、不動産バブルを周期的にもたらす「金融循環」という経済に内在するメカニズムです。

つまり、小泉政権期は失政であるにもかかわらず、たまたま巡り合った世界的な不動産バブルの波に乗っかって、景気拡大とプライマリーバランス改善が実現しただけ。
裏を返せば、まともな経済政策を行っていれば、もっと経済パフォーマンスは良かったはず。
そう考えれば上述した長期的な事実ともツジツマが合うし、「実感なき景気回復」とも言われ、1人当たりGDPの国際順位が大幅に低下した当時の状況とも符合します。

ところが、景気循環の内在を基本的に否定する主流派経済学に立脚し、なおかつ単年度の財政収支に固執する均衡財政主義からはこうした現実の姿は見えてこない。
そうした誤った世界観のもとではまともな経済政策など行えるはずもなく、そのなれの果てが日本の失われた20年であり、さらにはユーロ圏の直近の不振。
そうした状況を打破するには、より現実的な世界観のもとで、小泉政権期についても正しく否定的な評価をすると共に、目先の景気変動にとらわれずに長期的観点から政策を遂行する必要があるのではないか。
それが今回お伝えしたかったメッセージです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-79.html

(ちなみに、一見意味不明の今回のタイトル、こちらから拝借しました。センスの良し悪しは、あまり突っ込まないでいただきたく…。)
http://amzn.to/1DcZAIE
http://www.lyricsfreak.com/b/bob+dylan/world+gone+wrong_20021652.html

ところで気になるのは、小泉政権期の「量的金融緩和・緊縮財政・構造改革」という政策パッケージ。
「機動的な財政政策」の正体が、「消費増税を含む均衡財政主義」を前提としていること(下記、2012年総選挙時の自民党総合政策集26枚目、50ページ参照)からすれば、「アベノミクスの3本の矢」と何が違うというのでしょう…。
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf
深読みのし過ぎかもしれませんが、そう考えると、「2017年4月には確実に消費税を10%に引き上げることが、2014年衆議院解散の理由である」という自民党の広報記事とも、恐ろしいことにツジツマが合ってしまうのです。
https://www.jimin.jp/news/activities/126550.html

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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