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The dollar's moving?

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回は「The dollar's moving?」というタイトルで、昨年来述べている「ドル高&新興国からの資金流出シナリオ」にまつわる現在の状況について評論しています。
なお、今回のタイトルは、記事内でも引用した、ポール・マッカートニー作詞・作曲の 'The pound is sinking' の歌詞の一節にちなんだものです。

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。




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【島倉原】The dollar’s moving?
From 島倉原@評論家

おはようございます。
日の出が早まると共に、徐々に暖かくなり、春の訪れを感じさせる今日この頃です。
あまり風情のない話で恐縮なのですが、海外の金融市場の動向をインターネットでチェックするのがほぼ毎朝の習慣になっていて、近頃データの更新時刻が早まったな、と思っていたら、アメリカは今週からサマータイムなんですね。

本メルマガでも何度か取り上げてきましたが、

「金融循環」という経済の内生的なメカニズムによって、ドル高と共に「新興国から先進国への資金シフト(プラス新たな新興国危機)」が起こりつつあるのではないか。

という予測というか仮説を、昨年来述べてきました。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-66.html

ドル高については、昨年後半以降、はっきりとしたトレンドが出ている感じです。
http://research.stlouisfed.org/fred2/series/TWEXBPA
そういえば、この歌が世に出た当時も、割と似たような局面でした。
https://www.youtube.com/watch?v=Ux21kiOGIrE
(ちなみにこの歌には、ひょっとしたら近い将来復活するかもしれない(?)「ドラクマ」も登場します)

他方で、「新興国から先進国への資金シフト」については、現時点では「何となくそんな感じ」くらいのレベルでしょうか。
昨年後半、ロシアとギリシャの株価が(ロシアについては通貨も)米ドルベースで半値近くに下落しましたが、18年前のアジア通貨危機のような、大規模かつ広範囲の金融危機に至っているわけではありません。
今年以降の新興国市場は、ロシアにリバウンドの動きがみられる一方で、引き続き下落基調のギリシャを筆頭に、コロンビア、トルコ、ブラジルといった国々の株価が低調な動きを示しています。

新興国といえば、多くの人にとって気になるのはやはり中国でしょう。
株価については上海総合指数がこの半年で約5割上昇するなど堅調に見える一方で、上記のブログ記事でも指摘したとおり、民間債務の急増は近い将来の危機発生リスクを想起させますし、不動産バブルの崩壊も折に触れて各所から指摘されています。
中国政府においても、成長率目標の引き下げ、金融緩和による経済下支えといった対応が打ち出される一方で、先行きを警戒してか、バブル経済以降の日本に関する研究が盛んになっているようです。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M509Y20150309?rpc=131&sp=true

特段中国を意識していたわけではないのですが、最近ふと目にとまったのは、世界そして日本の金融市場における、不動産関連指標の動きです。
株価が全般的に上昇トレンドを続けている中で、REIT市場は国内外とも1月後半に直近のピークをつけており、変調の兆しを見いだせなくもありません。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=SREITGL%3AIND
http://bit.ly/1MruimC
株価にしても、こと国内不動産株に限ってみれば、2013年12月がアベノミクス相場以降のピークとなっています(2013年4月時点で既に頭打ち、といえなくもありません)。
http://bit.ly/1wrCLlT

一見関係が乏しいようですが、中国経済の先行きを考える上で、こうした動きは軽視できないのではないでしょうか。
いつの頃からかはわかりませんが、ここ最近、「チャイナ・マネーが国外不動産を買いあさっており、先進国を中心に各国の不動産市場が過熱している」というニュースを、折に触れて目にするようになりました。
近年急増している中国の民間債務のある部分は、直接ではないにしても、巡り巡って、こうした国外不動産の購入に充てられていることが想定されます。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DD01520140427?sp=true
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FR0E120140722?sp=true

仮に上述した世界の不動産市場の動きが、中国経済の変調を反映しているとしたら…。
そして世界の不動産市場の調整が、債務を膨らませた中国の民間部門にさらなるダメージを与えるとしたら…。
世界の金融市場、そして経済に対して、それなりの影響を与えずにはいられないかもしれません。
そうなった時、過剰な金融緩和によって支えられたアベノミクス相場は、果たしてどうなっているのでしょうか…。

なお、今回述べたのは、金融循環という枠組みを前提にしつつ、直近の状況を観察して組み立ててみた「想定可能なシナリオの1つ」に過ぎません(ことによっては、原稿が仕上がってからメルマガとして配信されるまでにREIT市場の風向きがすっかり変わっていて、シナリオの前提がそもそも崩れているかもしれません)。
もちろん、自分自身も含め、こういった可能性も想定しておくことに一定の意味はあると思いますが、だからといって、特定の予測をことさら強調するものでも、投資その他の特定の行動をお勧めするものでもありません。念のため。

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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