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「大阪都構想」の経済的リスク(入門編)

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回は「「大阪都構想」の経済的リスク(入門編)」というタイトルで、先週、本ブログでアップした「「大阪都構想」の経済的リスク」について解説したものです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-85.html

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。


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【島倉原】「大阪都構想」の経済的リスク(入門編)
From 島倉原@評論家

おはようございます。
ときおり寒の戻りはありますが、私の地元の関東にもサクラの開花前線が到達するなど、前回(先々週)と比べ、だいぶ春らしくなってきています。
http://sakura.weathermap.jp/

といいつつ、今回のテーマは大阪。
大阪市を廃止して5つの特別区に分割し、同地域の行政を大阪府との間で再編する、いわゆる「大阪都構想」について、経済政策としての問題点を述べるものです。
「入門編」とあるように、ポイントのみを簡単にまとめています。
詳しい内容は、下記の拙ブログ記事で述べていますので、参考にしてください。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-85.html

なお、言わずもがなかもしれませんが、今回の記事を書いたのは、当メルマガの執筆者仲間である藤井聡さんに肩入れするためでもなければ、ましてや橋下徹大阪市長が嫌いだから(!)でもありません。
あくまでも、常日頃お伝えしている、

「長期にわたる緊縮財政が、日本の経済や社会をおかしくしている」

という様々な事実を踏まえた私自身の所見を、大阪の現実に当てはめてみた結果をお伝えするものです。

では、「大阪都構想」の何が、経済政策として問題なのでしょう。

そもそも「大阪都構想」の出発点は、「大阪府・大阪市の二重行政によって生じている税金の無駄遣いが、財源不足を引き起こし、大阪経済活性化の足かせとなっている」というものです。
そこから、「大阪市というシステム(存在)自体に問題がある」という発想が生まれ、「大阪市を解体し、大阪地域の行政を再編し、無駄な行政費用をカットする」という構想につながっています。
つまり、「大阪都構想」とは、橋下市長がいみじくも府知事時代の堺屋太一氏との共著『体制維新―大阪都』でいみじくも述べているように、「放漫財政から緊縮財政へのシフト」と「構造改革(「大阪市」というシステムの解体)」がセットになった政策パッケージというわけです。
http://oneosaka.jp/tokoso/
http://amzn.to/1EGTLaE

しかしながら、本当に「大阪市での無駄遣い」が、大阪経済停滞の原因なのでしょうか?
GDP統計が示しているのは、「過去約20年ないしは過去約40年、比較対象となる大都市圏の中で、大阪市や大阪府はもっとも財政支出の伸び率が低く、経済成長率も低い部類に属する」という現実です。
つまり、「大阪市で放漫財政が行われている」という発想には重大な事実誤認があるばかりか、そうした発想から緊縮財政をより強力に推し進めようとする大阪都構想は、かえって大阪経済の不振を加速するリスクがある、というわけです。
http://on.fb.me/18qkH0k
http://on.fb.me/1ApK6P3

では、大阪都構想の発想とは逆に、積極財政に転じれば、大阪経済は活性化するでしょうか?
やはりGDP統計で確認できる、「財政資金が重点的に投下されていた高度成長期の大阪は、全国、さらには東京すらも上回る経済成長を遂げていた」という事実は、そうしたシナリオが現実的であることを示唆しています。
http://on.fb.me/19mrBEP
http://on.fb.me/1Ldnmfv

しかも、高度成長期には、都市インフラ整備のため、中心都市である大阪市により多くの財政資金が投じられていたと推測されます。
だとすれば、地域経済のけん引役としての役割のみならず、「老朽化した都市インフラの維持・更新費用の確保」という観点からも、都構想の発想とは逆に、大阪市にこそ今以上の財政資金を投じる意義があるとすら考えられるのです。
http://www.city.yokohama.lg.jp/seisaku/daitoshi/tokubetsu/

「そうは言っても、今の大阪の財政って、支出を拡大するほどの余裕はないんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。
しかしながら、政府全体(国+地方自治体)としてみれば、「単年度の財政赤字の対GDP比」を拡大したのも、「政府債務の対GDP比」を加速度的に増加させたのも実は緊縮財政であり、積極財政に転じればむしろこれらの指標も改善することは、以前お伝えしたとおりです。
ということは、国・大阪府・大阪市間の適正な支出分担さえ図れれば、いずれの財政指標も悪化させることなく、積極財政によって大阪経済の活性化は実現できるはずなのです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-69.html
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-73.html

もっとも、今日に至るまで、大阪において緊縮傾向の財政運営を進めてきたのは、橋下市長や大阪維新の会だけではありません。
それ以外の政権の期間の方がむしろ長いわけですし、過去20年に関して言えば、いまだに続いている国による緊縮財政の推進も、大きな足かせとなっています。
したがって、「大阪都構想」を阻止したからといって、すぐに大阪経済が良くなるわけではもちろんありません。

しかしながら、「大阪都構想」には、特に大阪市を対象とした緊縮財政(及びその結果としての大阪経済の低迷)を加速させかねない、制度的要因がいくつも存在しています。
藤井さんが既に指摘されている「大阪市外への財源流出」や、「大阪市に蓄積された都市計画力の劣化・毀損」も、当然その中に含まれるでしょう。
また、冒頭ご紹介した拙ブログ記事の後半でも述べているように、大阪の行政にとって有力な財源獲得手段である「機関投資家向けの市場公募型大阪市債」が、大阪市の廃止によって発行できなくなることも、そうした要因の1つとして作用する可能性があるのです。
これでは、「構造改革」ならぬ「構造改悪」ではないでしょうか。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-85.html

ネット上にアップされたタウンミーティングの動画を観ると、橋下市長は「今の大阪に問題がある、と危機感を持っている人は大阪都構想の賛成派。今のままでも大丈夫という人は反対派」と説明しているようです。
しかしながら、「危機感は持っているけれども、今以上に状況を悪化させたくないから今回は反対票を投じる」という選択肢は、当然ありえます。
今回述べた事実、あるいはそこから想定されるリスクを踏まえれば、そうした選択肢が妥当なのではないでしょうか。
今後の国政選挙・地方選挙の双方を通じて、積極財政の重要性を理解した、確かなビジョンを持った政治家を選出することこそが、大阪に限らず、日本全体にとっても真の問題解決への道ではないかと思われます。

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テーマ : 橋下徹
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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