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憲法改正の世界観

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回は「憲法改正の世界観」というタイトルで、チャンネルAJER動画「憲法改正案の問題点」で取り上げた、自民党憲法改正草案に盛り込まれた財政規律条項について、その背後にある世界観の問題点について論じています。

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http://www.mag2.com/m/0001007984.html

以下では今回の記事を転載しています。


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【島倉原】憲法改正の世界観
From 島倉原@評論家

おはようございます。
4月に入ってからも、どういうわけか寒い日が続いていましたが、ゴールデンウィークも近づき、少々暑さを感じることもある今日この頃です。

先週はチャンネルAJERに出演し、「憲法改正案の問題点」というタイトルで、自民党の憲法改正草案に盛り込まれている財政規律条項や、その背景にある財政均衡主義の問題点について論じました。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-88.html

「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない」とする財政規律条項は、現行憲法には存在しない条項で、環境権条項・緊急事態条項と並ぶ「与野党間で先行して合意しやすい項目」と位置づけられています。
http://www.sankei.com/politics/news/150226/plt1502260049-n1.html

そして、上記の「財政の健全性について定める法律」とは、例えば2011年に自民党によって提出された「財政健全化責任法案」のようなもの、というのが、自民党ホームページで述べられているところです。
https://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf

この財政健全化責任法案、単年度の財政赤字が生じないようにすることを最終的に目指しつつ、当面の目標として2021年度以降の名目GDP対比での政府債務残高の安定的な低下を掲げ、そのための手段として「プライマリー・バランスの2015年度までの赤字半減と2020年度までの黒字化の確実な達成」をうたっています。
これは、緊縮財政・均衡財政主義の発想のもとで小泉政権期に導入され、現政権にも引き継がれている財政運営方針そのものです。
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-001.pdf
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2014/2014_basicpolicies_01.pdf

名目GDP対比での政府債務残高も、単年度の財政赤字やプライマリー・バランスも、指標として悪化しているのは、緊縮財政によって名目経済成長が止まり、民間の投資意欲が失われた結果であることは、これまでも再三述べているとおりです。
にもかかわらず、そうした状況をさらに悪化させかねない、すなわち「財政健全性の確保」という目標にそもそも逆行している財政規律条項が、「とりあえず合意しやすい項目」と見なされている背景は、大きく2つあるのではないかと思われます。

まず1つ目は言うまでもなく、「緊縮財政が日本の経済成長を止め、各種財政指標を悪化させている」という現実の経済のメカニズムを、多くの政治家が理解していないこと。
この辺りは、本メルマガでの三橋貴明さんの記事「憲法改正と財政均衡主義」や「ダメな政治家」の議論とも通じるところがありそうです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/03/05/mitsuhashi-206/
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/04/04/mitsuhashi-220/

加えて、不動産バブルを周期的に発生させる「内生的景気循環メカニズム」の実在が見過ごされていることが、問題をより深刻なものにしています。
そうした背景を踏まえれば、経済に深刻な影響を与えることが明らかな消費税増税が、なぜあのタイミングで二度にわたって行われたか、ツジツマの合った理解をすることが可能になります。
さらに言えば、そうした見過ごし自体、「緊縮財政が日本の経済成長を止めている」という、長期的に見れば明らかにも思える現実への理解を妨げているのです。

内生的景気循環メカニズムの見過ごしも、近視眼的な均衡財政主義も、意識的であれ無意識的であれ、非現実的な前提に立つ主流派経済学の影響を受けてのもの。
まさしく、ケインズが『一般理論』で述べた「過去の経済学者の奴隷」に他なりません。
来週発売される拙著『積極財政宣言』では、「第4章:内生的景気循環論で読み解く日本経済」「第5章:経済政策のあるべき姿」を中心として、主流派経済学に代わるより現実的な世界観を事実に基づいて提示した上で、そこから帰結される適切な経済政策のあり方を論じています(第5章第1節のタイトルはズバリ「積極財政こそが健全財政」ですし、消費税を巡る誤った政策判断の背景については、同章第2節「積極財政こそが成長戦略」で取り上げています)。
http://amzn.to/1HF6UyO

ちなみに、大阪維新の会や橋下徹・大阪市長が「大阪二重行政の無駄の象徴」としてしばしば取り上げるのが、現在有効利用されていない「りんくうタウンゲートタワー」と「テクノポート大阪WTC」。
下記の動画で述べられているように、それらの現状をもたらしたのが「行政の仕組みの問題」ではなく「バブルのあおり」なのだとしたら、これもまた、内生的景気循環メカニズムを見過ごした、近視眼的な均衡財政主義に基づく結果と言えるでしょう。
だとすれば、そうした現実を理解せず、小泉政権的な、均衡財政主義の発想をより一層推し進めようとする「大阪都構想」が、建設的なビジョンを提示することなく、むしろ現状をより一層悪化させかねないのもまた当然の帰結なのです。
https://www.youtube.com/watch?v=gdkR0WOh3S4&feature=youtu.be

そして、財政規律条項が「とりあえず合意しやすい項目」と見なされている背景の2つ目は、少なからぬ政治家が「経済政策は自分の専門外」と考え、ややもするといわゆる「有識者」や経済官僚に丸投げしている節があることです。
特に、外交や安全保障の専門家を自任する政治家に、そうした傾向が見られるようにも思えます。

しかしながら、外交や安全保障の問題は、経済と切り離して論じるべきではないでしょう。
「グローバリズム」という言葉に代表されるように、国際関係は経済的な利害に大きく左右される性質を持っています。
また、国内経済の停滞は社会全体の閉塞感を強めることで対外拡張的・対外強硬的な世論を醸成し、国力低下と国際的な摩擦増大の両面から、国家としての選択肢を狭めつつ安全保障リスクを確実に高めます(主流派経済学の影響を受ける度合いを考えれば、「経済の専門家」という肩書だけで経済政策について丸投げすることは、より一層リスクを高めるとすら言えそうです)。

こうした観点からも、経済問題を軽視し、財政規律条項を「とりあえず合意しやすい項目」として扱うことは、構造改革への取り組み同様、憲法改正それ自体を目的化する行為であり、政治姿勢としては極めて危ういものをはらんでいます。
憲法の議論には国家観がつきものですが、その前提として、主流派経済学の非現実的な世界観から脱却する努力を意識して行わなければ、今回の事例にみられるように、むしろ「憲法改悪」となるリスクが高まることでしょう。
政治家・有権者双方の立場から、現実経済をより良く理解し、適切な政策運営を実現する一助として、拙著『積極財政宣言』が一人でも多くの方にご活用いただければ幸いです。
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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