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乗数効果を再考する(チャンネルAjer)

インターネットテレビ「チャンネルAjer」にて、「乗数効果を再考する」と題してプレゼンテーションを行ないました。
今回は1時間近いプレゼンで、7月13日及び20日(いずれも金曜日)の2回に分けて、ユーチューブとニコニコ動画それぞれにアップロードされています。
例によって自らの未熟なプレゼンを補うため、プレゼン資料もPDF形式で公開しておきます。

【当日のプレゼン資料(pdf)】
乗数効果を再考する(チャンネルAjer20120713&20).pdf

【ユーチューブ】
第1部
第2部
第3部
第4部
第5部

【ニコニコ動画】
第1部
第2部
第3部
第4部
第5部

「乗数効果」とは、「政府支出の拡大が民間に所得をもたらし、その波及効果で国内経済全体が当初の政府支出拡大額の何倍以上も拡大するメカニズム」をとらえた、マクロ経済学(特にケインズ経済学)の基本的な概念です。
ケインズ経済学自体が1930年代の世界恐慌の克服を主眼として成立していることもあり、特に不況期の景気対策としての積極財政(公共事業その他による政府支出拡大)を正当化する理論的根拠と位置づけられてきました。
ところが、1970年代以降の古典派経済学の巻き返しの流れの中で、批判的な議論の方がむしろ強くなり、研究テーマとしてもマイナーに追いやられ、教科書にだけは一応記述が残っている(ただしその中味は1950年代からほとんど変わっていない)、といった扱いになっているのが現状だと思います。

私自身は、現実の経済データからも、乗数効果を従来とは異なる理論的な枠組みのもとで、よりポジティブに解釈し直すことができる、と考えております。
即ち、

・乗数効果は短期的な景気対策としての積極財政を正当化するに止まらず、長期的な名目経済成長を支える最も重要なメカニズムである(=一国の名目経済成長は、長期的に同国の公的支出の規模に比例する、言い換えれば「公的支出の拡大なくして経済成長なし」)
・過去15年余り日本経済が名目ゼロ成長のまま停滞してきたのは、乗数効果のこうした意義を無視して政府が本来果たすべき役割を放棄し、公的支出を横ばいに抑えてきた結果である。

というものです。
今回の番組の前半部分(上記第1部、第2部)ではその議論にいたる前段として、そもそも乗数効果とはどのようなものか(どのようなものとして経済学の教科書では説明されているか)、乗数効果やそれを裏付けとした財政出動に対してどのような批判が存在するか(公的支出拡大タブー視、乗数効果無効論etc.)を一通り整理しています。
その意味では(プレゼンのぎこちなさも含めて)少々退屈な内容になっているかもしれませんが、後半部分の議論が決して突拍子も無いものではない、ということを確認するための前提の議論としてご覧いただければと思います。
そして後半部分(上記第3部、第4部、第5部)では、各種経済データ等に基づいて、乗数効果に対する各種批判に妥当性が無いことを実証し、合わせて上記で述べた私なりの新たな解釈を提示していく流れになっています。
またその過程において、過去15年にわたる日本の緊縮財政路線や、直近の消費税増税が経済成長の足を引っ張る、いかに間違った政策であるかを、乗数効果の観点から指摘しています。

「積極財政」というとネガティブな印象でとらえられるのが多数派だと思いますが、それは「誰かの支出は誰かの所得である」というマクロ経済のメカニズムを無視した大いなる誤解であり、そうした誤解が過去15年余りのゼロ成長経済を背景とした日本全体の閉塞状況につながっているのが現実です。
こうした状況を打破するための世論形成につながる1つの切り口として、より多くの方々にご紹介いただければ幸いです。

※日本経済再生のための財政支出拡大の必要性については、徐々に理解者・支持者が増えているとはいえ、まだまだ主要マスコミでのネガティブな報道等の影響力が強いのが現状です。ツイッター、フェイスブック等のソーシャルメディアを通じて1人でも多くの方にご理解いただくため、下記ボタンのクリックにご協力いただけると幸いです。

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コメント

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マンデルフレミングモデルがいかがわしいものではないかと思っていましたが、島倉先生が示してくださった実証研究結果で、これほど明確に確認できたのは、かなり驚きでした。ありがとうございました。私も時間があったら、自分でも同じようなグラフを自作して確認してみたいと思います。

実データが伴っていて大変面白かったです
気になったのは、名目GDP伸び率と公的支出伸び率が長期的に見て比例関係にあるのはデータ上間違い間違いないとして
G=一定の時に起こるY=G+αxβxYの均衡はどう説明したら良いものでしょうか?

Re: タイトルなし

コメント有難うございます。
モデルそのもの、あるいは提唱者の意図に問題があったのかどうかは定かではありませんが、少なくとも現実の課題に対する昨今のあてはめかたに問題があるのは間違い無いところだと思います。
とはいえ、このモデルを積極財政批判の根拠にする議論は結構多いようなので、機会があればより詳しく読み解いてみたいと思っています。

Re: タイトルなし

コメント有難うございます。
ご質問の点、現時点での私の答えは、まだまだ理論的な根拠が不十分なのですが、「Gと均衡水準のYは長期的にはほぼ一定ながら、内生的な景気循環の影響を受け、Gと現実のYの関係は必ずしも一定ではない」というものです。
つまり、好景気の時のYは均衡水準を上回り、不景気の時は下回る、というものです。
実証的な根拠となりうるデータとしては、例えば下記の記事(2012年6月3日付「初めての講演~」)に掲載したプレゼン資料の6ページのチャートを想定しています。

http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-5.html

ただし、景気循環の発生メカニズムを説明する理論自体が確立していないので、残念ながら現時点では根拠として不十分といわざるを得ない、という訳です。
さはさりながら、既存のモデルでこうしたGとYの関係を説明したものとして「サミュエルソンモデル(あるいはサミュエルソン=ヒックスモデル)」というものがありますので、それについて言及している(慶応大学の)サイトのURLを参考までに載せておきます。

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/ito/pdf97/h97ma.pdf
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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