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資本主義経済の不安定性

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事を執筆しました。

今回は「資本主義経済の不安定性」というタイトルで、拙著『積極財政宣言』のメインテーマの1つである「景気循環論」について、評論家・中野剛志さんの著書『資本主義の預言者たち』なども引き合いに出しながら紐解いてみました。

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以下では今回の記事を転載しています。


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【島倉原】資本主義経済の不安定性
From 島倉原@評論家

おはようございます。
「大阪都構想」の住民投票は反対が賛成を上回り、僅差で否決されました。
藤井聡さんをはじめとする多くの方々の奮闘に、改めて敬意を表したいと思います。

他方で、大阪維新の会の台頭をもたらした大阪経済の衰退・停滞感の原因は、「構造改革の不足」ではなく「緊縮財政」である、という現実を、政治・行政の関係者をはじめとして、一人でも多くの国民が理解されることを祈念します。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-85.html
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/04/09/shimakura-21/

さて、拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』が刊行されて3週間余りが経過し、いろいろな方とそのことを話題にする機会も増えてきました。
同書は『「積極財政宣言」とは何か』『失われた20年を検証する』『金融政策か、財政政策か』『内生的景気循環論で読み解く日本経済』『経済政策のあるべき姿』『おわりに』の6章からなり、

『現実の経済には、グローバル化と結びついてリーマン・ショックや日本のバブル経済崩壊のような巨大金融危機を周期的に発生させる「内生的景気循環メカニズム」が存在する。』
『ところが、いわゆる主流派経済学ではそうしたメカニズムが前提とされていない。』
『そのことが、緊縮財政こそが「失われた20年」あるいは長期デフレ不況の原因であるにもかかわらず、いわゆるリフレ派や新自由主義のような誤った(むしろ逆行した)経済政策論をはびこらせている。』
『すなわち、主流派経済学の誤った世界観こそが、日本の長期停滞の根本的な原因とも言えるのであり、より現実的な世界観に基づいて経済政策のあり方を大きく見直すべきである。』

という議論を、裏付けとなるデータも示しながら、包括的、実証的に展開し、積極財政の重要性や、経済政策のあるべき姿について、より理解を深めていただくことを目指した書籍です。
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ところが、本書において「主流派経済学や巷にはびこる経済政策論の問題点を解明する上での重要なキーワード」と位置づけている「内生的景気循環論」という枠組み、あるいは「景気循環」という現象自体、多くの方々にとっては実はあまりピンとこないものなのだ、ということを、今さらながら改めて実感しているところです。

景気循環とは、景気すなわち経済の状況が、良くなったり悪くなったりする現象を指す言葉です。
とはいえ、自分で事業を営んだり、株や不動産の取引をした経験がないと、「景気が良くなった」「悪くなった」という実感を日常的に得るのは、なかなか難しいのかもしれません。
景気が良い時期には企業活動が活発になり、雇用環境も改善し、人々の所得が伸び、消費が活発になりますが、しばしばそうした状況が過熱するとともに、金融市場や不動産市場で大規模なバブルが発生します。
悪い時期にはその逆で、日本の80年代バブル崩壊やリーマン・ショックのように、大規模な金融危機がしばしば発生し、経済全体が冷え切った状況になります。
つまり、景気が良い時期も悪い時期も、経済活動の行き過ぎ、言い換えればある種の不均衡が生じている訳ですが、人間の経済活動の内部にこうした不均衡を繰り返すメカニズムが組み込まれている、ととらえるのが、「内生的景気循環論」という考え方です。

ところが、新古典派経済学をベースとするいわゆる主流派経済学では、こうした考え方は排除されています。
なぜなら新古典派経済学では、各経済主体の最適化行動が市場メカニズムを通じて経済全体を均衡点に導く、というのがいわば当然の前提となっているからです。
そうした考え方のルーツをたどってみると、どうやら「自然界も社会も、全知全能の神が設計した、共通の法則によって支配された存在である」という18世紀の啓蒙哲学(あるいは自然法思想)の影響下で、ニュートン力学にならって経済学の体系化が行われた、ということのようです。
(このあたりの経緯にご興味がおありの方には、例えば下記、荒川章義著『思想史のなかの近代経済学』などが参考になると思います)
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そうした世界観のもとでは、景気循環のような不均衡現象は、その都度生じた何らかの外的ショック(政府の介入、自然災害etc.)によっていわば偶然に引き起こされたもの、と解釈せざるを得ません。
しかしながら、リーマン・ショックの発生時、あるいはその過程で世界経済が大混乱をきたしている最中に、そうした解釈を正当化するほどの大規模な外的ショックが同時に発生していたでしょうか?
主流派経済学の想定とはむしろ逆に、グローバル化の過程で金融をはじめとした自由化・市場経済化が進む中で、かえって不均衡が拡大しているのが、1970年代以降の現実ではないでしょうか?
そもそも、以前も紹介したとおり、自然の摂理というのであれば、利益を追い求める企業の投資活動さながらに、被食者・捕食者の個体数が均衡水準に達することなく循環的に変動するのが、自然界の法則(ケインズのそれとはニュアンスが異なりますが、文字通りの「アニマル・スピリット」?)ではないでしょうか?
http://bit.ly/1HeVUXm

『積極財政宣言』では、内生的景気循環論という世界観を共有していた経済学者としてケインズ、シュンペーター、ミンスキーの3人を取り上げ、彼らの議論を主流派経済学のそれと対比させつつ、内生的景気循環論に基づく現代日本経済の分析・解釈を試みています。
この3人の組合わせ、本メルマガの読者の皆さんの中には、ピンとこられた方も多いかもしれません。
そう、中野剛志さんが書かれた『資本主義の預言者たち:ニュー・ノーマルの時代へ』(旧題:恐慌の黙示録―資本主義は生き残ることができるのか―)に登場する「5人の預言者」のうちの3人です。
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切り口はやや異なりますが、『積極財政宣言』も『資本主義の預言者たち』も、主流派経済学とは反対に、「資本主義経済の不安定性」をヴィジョンとして共有しています。
中野さん本人に同意いただけるかは定かではありませんが、前者は後者の「現代における実証・応用編」といってもあながち間違いではないかもしれません。
実際、『資本主義の預言者たち』を読まれた何人かの方々とお話しする機会もありましたが、拙著に関しても、通底する何かを感じ取っていただけたようです。
なので、両書を読み比べることによって、このテーマに関する理解をより一層深めていただけるのではないかと思います。

また、『積極財政宣言』でも一部触れていますが、単なるグローバル化にとどまらず、「グローバル化以降の景気循環現象の変質」が生じたという意味でも、19世紀と現代は共通しています。
したがって、景気循環への理解を深めることはそのままグローバル化への理解を深め、より真実、あるいは有効な議論へと近づいていけるのではないか―私自身、そんなことも考えながら、さらなる研究を進めている今日この頃です。
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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

tag : 景気循環 積極財政 中野剛志 三橋貴明 藤井聡 ジョン・メイナード・ケインズ ヨゼフ・シュンペーター ハイマン・ミンスキー 大阪都構想

コメント

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No title

あなたの 意見を読む限り 根本的な矛盾を書いているとしか言いようがない。
あなたが言うように 資本主義は金融が複雑に入り組んで大きくなり、古典派の言うようにはいかない。
それはケインズもミンスキーも言っていた。だからコントロールして調整しなければならない。
でも、どうやって?
あなたは、一方でこの手に負えなくなっている先進国の政府債務の中 緊縮はいけない。積極財政だ。
その政府支出のお金は どこからで出てくるの?
日本で言えば 中銀が刷るんですよね。
その刷った時 裏で何が起きているの?
金利が水没しているんですよね。
さあ、これでわかりませんか。
逃げるんでしょうけど。
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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