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「リフレ派」全体主義

メルマガ「三橋貴明の『新』日本経済新聞」の記事に寄稿しました。

今回は『「リフレ派」全体主義』というタイトルで、日本の長期不況の原因は日銀の金融緩和不足にあるとする、いわゆる「リフレ派」と呼ばれる人々の言説が思考停止した全体主義的なものであることを、藤井聡さんの著書『<凡庸>という悪魔』を手掛かりに論じています。

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以下では今回の記事を転載しています。


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【島倉原】「リフレ派」全体主義

From 島倉原@評論家

おはようございます。
今回は、前回の論稿『「景気回復」の危うい実態』で述べた問題意識を、最近読んだ藤井聡さんの著書『〈凡庸〉という悪魔』を手がかりに掘り下げてみたいと思います。
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↓ちなみに、前回の論稿はこちらです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-95.html

『〈凡庸〉という悪魔』は、ナチス・ドイツやソ連のスターリニズムの背後にあった「全体主義」の構造について述べた上で、現代の日本社会を覆う様々な「全体主義現象」を解説しています。
全体主義とは、特定の主義・主張を意味するものではなく、「とにかく、全体に従うべし」という考え方。
物事や他人の言動に対して何の疑問も持たない、いわゆる思考停止に陥った「凡庸な人々」が増えることによって生み出されるとされています。

全体主義現象の主な特徴として列挙されているのが、「思考停止」「俗情」「テロル(暴力)」「似非科学」「プロパガンダ」「官僚主義」「破滅」の7つ。
このうち、全体主義活動を正当化するために後付けとして用いられるのが、一定の理屈があるようで、実は詭弁でしかない「似非科学」。
この似非科学を大衆に信じ込ませるために、マスメディアを通じて繰り返し行われる宣伝活動が「プロパガンダ」です。

そうしたプロパガンダを通じて全体主義はますます勢力を拡大していくわけですが、所詮は似非科学によって正当化されているに過ぎません。
したがって、全体主義はいずれは破滅的な帰結を迎える、というのも同書が述べるところです。
しかしながら、そこに至るまでには全体主義のエネルギーが巨大化し、社会に対して多大な影響を及ぼしています。
その結果、全体主義が破滅する過程では、かつてのナチス・ドイツがそうであったように、場合によっては国家の存続が危ぶまれるほどの大損害が発生します。

同書では、日本にはびこる全体主義現象の事例として、「とにかく改革すればいい」と考える「改革」全体主義、及びその背後にある「新自由主義」全体主義を取り上げています。
そして、「改革」全体主義正当化のための似非科学こそが、かのミルトン・フリードマンが主導した「主流派経済学」あるいは「新自由主義経済学」。
そこでは、「あらゆる規制を取っ払って、自由な市場を実現しさえすれば、市場メカニズムを通じて社会全体がハッピーになる」と想定されています。
結果、「財政政策の軽視論」「緊縮財政論」「効率性至上主義」「規制緩和」に連なる「小さな政府論」が唱えられる一方で、カネの流通量の調整のみに着目した「金融政策の重視論」が主張されるようになる、というわけです。

さて、「ミルトン・フリードマン」「金融政策の重視論」と言えば、「日銀の金融緩和が不十分だったことが、長期デフレの原因である」と唱えてきた、いわゆる「リフレ派」を思い起こさせます。
(「いわゆる」と述べたのは、「ゆるやかなインフレーション」であるリフレを目指す手段は金融緩和以外、例えば積極財政でも良いため、本来のリフレ派とは必ずしも、現代の日本で通用している「金融政策重視派」に限られないからです)

実は、この「リフレ派」の議論もまた、現在の経済政策を正当化するための「似非科学」というべきものなのです。
拙著『積極財政宣言』でも、「金融政策か、財政政策か」という章を設けて解説しておりますが、
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「金融緩和の不足による円高が、日本のデフレ不況をもたらしている」
「大規模金融緩和によって、インフレ期待が高まる(高まった)」
「変動為替相場制の下では財政政策が無効であることは、マンデル=フレミング・モデルに基づく理論的な帰結である」

といった彼らの言説は、いずれも似非科学、というよりそれ以前の「デマ」に過ぎません。
そもそも、よくよく事実をたどってみれば、「元祖リフレ派」ともいうべきフリードマンやベン・バーナンキの「大恐慌の原因はFRBの不十分な金融緩和である」「金本位制の停止が大恐慌からの脱却をもたらした」という言説自体が、似非科学あるいはデマでしかないわけですから、こうなるのは必然でしょう。
しかも、かのハイマン・ミンスキーも洞察したとおり、金融政策に偏った政策運営は、金融市場の不安定性を高め、新たな巨大金融危機の火種ともなりかねないリスクをはらんでいます。

そして、前回も述べたように、大規模金融緩和のもとでは決して実体経済の回復が順調ではないにもかかわらず、政府・日銀も国内マスメディアもそうした事実を発信する姿勢に乏しく、いわば「消極的なプロパガンダ」が行われているといっても過言ではありません。
すなわち、今の日本には「改革」全体主義のみならず、同じく「新自由主義」全体主義を背景とする「リフレ派」全体主義が存在すると言えるのではないでしょうか。
これまた前回の繰り返しとなりますが、こうした「全体主義の渦」に巻きこまれ、「出口のない破局」に至るような事態を食い止めるためには、やはり1人でも多くの国民が正確な事実を認識・共有し、巨大な渦にも対峙可能な合意を形成していく必要があるのではないかと思われます。

(島倉原からのお知らせ)
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↓拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』のあらすじです。
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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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