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金融市場の現状を再点検する

米ドルの下落が続いている。
ドルの全般的な値動きを示すドル指数は96を割り込み、昨年11月のトランプ相場開始前の水準を下回っている。
先週のアメリカ株式市場では、ナスダック指数の低調さに象徴されるように、これまで相場をけん引してきたIT銘柄が足を引っ張る形で主要指数が下落した。

筆者は景気循環論に基づく現時点での長期的な見通しとして、「ドル高」「IT銘柄を中心とした先進国株高」のシナリオを述べてきたが、直近に限ればまるで逆の展開である。
そこで、より幅広い視点から今一度、現状をとらえ直してみたい。

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【2017年7月のメルマガ記事一覧】
コンドラチェフ循環から見た米ロ関係」(2017年7月30日号)
ビットコインの行方」(2017年7月23日号)
金融緩和解除の行方とクズネッツ循環」(2017年7月16日号)
アマゾンの次の一手を予想する」(2017年7月9日号)
金融市場の現状を再点検する」(2017年7月2日号、本稿)

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積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)
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tag : 金融市場 ドル指数 株式市場 アメリカ IT銘柄 景気循環

アマゾンが食料品スーパーを買収する必然性

6月16日、アマゾン・ドット・コムが、中高所得層に人気がある食料品スーパーマーケットチェーンを運営する、アメリカのホールフーズ社を137億ドルで買収すると発表した。
アマゾンが手掛けた買収としては、過去最大金額とのことである。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-16/ORN6SK6JIJUP01

電子商取引(EC)小売最大手のアマゾンは、これまでも本屋をシアトルやニューヨークに出店したり、レジでの精算が不要なコンビニの実証実験を行うなど、実店舗の出店にも取り組んできたが、あくまでも限定的なものであった。
ところが今回の買収により、一挙に460を超える店舗を手に入れることになる。
その背景を、アメリカのEC市場全体の動向から読み解いてみたいと思う。

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【2017年6月のメルマガ記事一覧】
続・マンション市場の現状と今後」(2017年6月25日号)
「アマゾンが食料品スーパーを買収する必然性」(2017年6月18日号、本稿)
マンション市場の現状と今後」(2017年6月11日号)
中国経済の意外な現状と金融市場の今後」(2017年6月4日号)

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tag : アマゾン ホールフーズ 買収 EC 電子商取引

「半導体の覇者」への投資タイミング

アメリカの半導体メーカー、エヌビディアがここに来て脚光を浴びている。
先週発行された日経ビジネスの特集は「AI 世界制覇の攻防」、週刊東洋経済のそれは「半導体の覇者 熱狂する世界、沈む日本」というタイトルで、両誌とも、AI用半導体の覇権を握るのではないかと目され、今や「21世紀のインテル」とすら呼ばれている同社を大きく取り上げている。
同社の株価は急上昇しており、直近ではソフトバンクが、サウジアラビアなどと共同で発足させた10兆円ファンドに組み入れることを前提に同社株を買い集めているとの報道もなされている。
http://business.nikkeibp.co.jp/special/ai/
http://tkplus.jp/articles/-/15646
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HWX_U7A520C1TJC000/

本メルマガではほぼ1年前の2016年5月22日、「株価上昇を続けるAI(人工知能)関連銘柄」と題してエヌビディアを取り上げた。
まだ株価が現在の3分の1未満だった頃の話である。
このたび当該記事を下記の通り無料公開したので、興味のある方は参考にしていただきたい。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-251.html

IT業界の中核企業であるソフトバンクが運営する巨大ファンドの投資対象という意味でも、今後の株価が引き続き注目されるエヌビディアだが、先述したように、既に相当上がっていることもまた事実である。
高値づかみのリスクをできるだけ引き下げるには、投資タイミングをどのように見極めるべきだろうか。

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http://foomii.com/00092/2017052800000039081


【2017年5月のメルマガ記事一覧】
「「半導体の覇者」への投資タイミング」(2017年5月28日号、本稿)
日米株式市場の需給環境と今後」(2017年5月21日号)
バフェットのポートフォリオを考察する」(2017年5月14日号)
アメリカ主要IT企業の決算を振り返る」(2017年5月7日号)

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【島倉原の著書】
積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)
ギリシャ危機の教訓~緊縮財政が国を滅ぼす』(Amazon電子書籍、2015年)
          


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tag : 半導体 エヌビディア NVIDIA 株式投資 ITバブル AI ソフトバンク ファンド

株価上昇を続けるAI(人工知能)関連銘柄(無料公開)

(本稿は『島倉原の経済分析室』2016年5月22日号を無料公開したものです。リンクのうち株価チャートについては、記事の内容と合致しないのでご注意ください)

1月後半から堅調に推移してきた世界の株式市場が、4月の後半あたりで短期的なピークを付けている。
例えばこちらはアメリカの代表的な株価指数であるS&P500の過去1年の動きで、気が付けば4週連続の下落となっている。
http://yhoo.it/1WIs9et

多くの報道や市場関係者の見解などとはギャップがあるかもしれないが、こうした動きは金融市場全体、ひいては世界経済の新たな不安定化の兆しのように筆者には感じられる。
このあたりは、先々週号「オーストラリア利下げの世界経済へのインパクト」(下記URL参照)で述べた分析なども参考になるかもしれない。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-166.html

他方で、そうした中でも株価が上昇を続けている企業がある。
3月に「グーグルの人工知能と株式市場」や「IT業界の景気サイクルと株式市場」(下記URL参照)を執筆して以降、意識しつつも言及するタイミングを逸していた、AI(人工知能)関連の中核とも言える銘柄である。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-154.html
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-156.html

エヌビディア(NVIDIA)という企業がある。
コンピューターゲームなどで用いられるGPU(Graphics Processing Unit, 画像処理半導体)で約8割のシェアを占める、アメリカの半導体メーカーである。
市場全体の停滞状況にも関わらず、好調な決算発表を受け、同社の株価は直近も上昇を続けている。
http://yhoo.it/1U5x7h9

同社の主力であるGPUが、インテルが支配しているCPUに代わるAIの中核技術として脚光を浴びていることが、好決算の背景にある。
その意味では、以前紹介したFPGAや、直近でグーグルが自社AIビジネスの専用半導体として披露したTPU(Tensor Processing Unit)と同様な位置づけだが、現時点の普及度においては、GPUが先行している。

現在でもエヌビディアの売上の過半はゲーム事業だが、GPUはデータセンターだけではなく、自動運転の基盤技術としても注目されている。
例えば、同社におけるデータセンター事業の売上シェアは現状1割程度だが、直近の2016年2-4月期決算では、前年同期比63%増の売上高を計上している。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO99534360R10C16A4FFB000/
http://www.fool.com/investing/general/2016/05/13/how-nvidia-could-dominate-machine-learning.aspx

「グーグルの人工知能と株式市場」では、ITバブルを想定した「相対的に手堅い(投資もしくは投機の)選択肢」としてインテルを挙げていた。
しかしながら、「新たな産業トレンドが既に業績に結びついている(かつ、インテルのCPU事業のような『レガシー事業』に業績の足を引っ張られていない)」「時価総額も相対的に小さい(2016年5月20日時点で、エヌビディアの時価総額はインテルの約6分の1の241億ドル)」「株価も既に相当上昇した感があるとはいえ、現時点でもバブル的水準とまでは言えない(例えば株価収益率は37倍)」などを踏まえれば、そこでエヌビディアの名前を挙げなかったのは、筆者の不明と言うべきかもしれない。
少なくとも、インテルと(FPGA最大手メーカーである)ザイリンクスの中間に位置する、(これまたあくまで相対的だが)ミドルリスク・ミドルリターン的な銘柄とは言えそうである。

とはいえ、冒頭でも述べたように、世界の金融市場には(恐らくは新興国危機の顕在化等を引き金とした)新たな不安定化の気配がある。
不安定化が実現した際には、時流に乗った個別株でも(あるいは時流に乗っているからこそ)、少なからず調整に見舞われるのが相場の常である。
例によって読者の自己判断、自己責任の領域だが、仮に新たにエヌビディアに投資するのであれば、そうした不安定化が実現するタイミングを待ったとしても、チャンスは十分にあるのではないだろうか。

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tag : エヌビディア AI 半導体 ITバブル 株式市場 アメリカ

日米株式市場の需給環境と今後

先週5月17日、アメリカの株式市場が急落した。
トランプ大統領によるロシアをめぐる司法妨害の疑惑が広がったことがきっかけとされている。
当然というべきか、翌日には日本の株価も大きく値下がりした。

そんな中、何度か紹介している日本株の需給環境を示すとある指標が、珍しい動きを示した。
果たしてこれは何のシグナルなのか。
アメリカ株式市場の状態を示す別の指標の動きと照らし合わせながら、考察してみたい。

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【2017年5月のメルマガ記事一覧】
「半導体の覇者」への投資タイミング」(2017年5月28日号)
「日米株式市場の需給環境と今後」(2017年5月21日号、本稿)
バフェットのポートフォリオを考察する」(2017年5月14日号)
アメリカ主要IT企業の決算を振り返る」(2017年5月7日号)

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tag : 株式市場 日本 アメリカ 需給環境 投資 タイミング

バフェットのポートフォリオを考察する

今年に入ってからしばしば、「ウォーレン・バフェットを超える投資戦略」を念頭に置いた記事を執筆してきた。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-232.html
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-237.html
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-246.html

実は、当面に限れば、バフェット並みの投資パフォーマンスを上げるのは極めて簡単な話である。
なぜなら、彼が経営し、資産の大半を投じているバークシャー・ハザウェイの株を買えば良いだけの話だから。
ただし、それでは今年87歳になるバフェットの寿命と共に尽きてしまうので、到底長続きはしまい。
そこで、(「並み」でも十分ハードルが高いことからすれば)「超える」というテーマ設定が適切だったかどうかは別として、できる限りデータに基づいた、バフェットに匹敵するオリジナルの投資戦略を考えてみよう、というのがそもそもの筆者の意図であった。

今回はこれまでと視点を変えて、バフェットがバークシャーを通じて投資している主要な銘柄の考察に着手してみたい。
これまでも、IBM株やアップル株に対するバフェットの投資意図については個別に考察してきたが、より長期的かつ包括的な観点から、オリジナルの投資戦略を検討するための有益な手がかりとして。

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tag : ウォーレン・バフェット 株式投資 バークシャー・ハザウェイ IBM アップル

アメリカ主要IT企業の決算を振り返る

先週号では、ツイッターの2017年1-3月期決算を取り上げた。
その後もアルファベットにアマゾン、アップルにフェイスブックと、主要IT企業の決算が相次ぎ、総じて好決算となっている。
そこにアメリカ景気の強さを示す経済指標が株高材料として加わり、先週2017年5月5日には、S&P500指数やNASDAQ総合指数が史上最高値を更新した。

上記以外のIT企業もまた、先週末の株式市場をにぎわせた。
1つは、ウォーレン・バフェットが保有株の3分の1を売却したことを明らかにして大幅安となったIBM。
いま1つは、ちょうど1年前にITバブル再来の予測の下で下記の記事で取り上げたとある企業で、好決算の発表を受けて何と1日で20%以上上昇している。
そこで今回は、こうしたIT企業各社の決算を概観してみたい。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-162.html

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ツイッターとITバブルの今後

2017年4月26日、ツイッターが2017年1-3月期決算を発表した。
売上高が前年同期比8%減と初の減収で、引き続きの赤字決算であったが、利用者数の伸び率が前四半期よりも改善したことが評価されたのか、同日と翌日の株価は大きく上昇した。
http://jp.reuters.com/article/twitter-results-idJPKBN17S1IN

ツイッターといえば、昨年5月29日号「ツイッターの企業価値と将来性」でも取り上げた企業である。
その際には、フェイスブックやリンクトインとの比較も交えた、複数の業績指標に対する株式時価総額の倍率から見た値頃感と、潜在的な成長性という観点から、長期的な投資対象となり得るか否かについて検討を行なった。
その時からほぼ11カ月、株価は9.1%上昇している。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-171.html

他方で、筆者が従前より「現在は周期的なITバブル生成局面である」と述べていたのに対し、下記の日経新聞記事にもあるように、ここに来てITバブルを連想する向きが増えているようである。
そこで、今回はツイッターの決算内容を確認しつつ、同社、及びITバブルの今後について改めて考察してみたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF28H0N_Y7A420C1EN1000/

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【2017年4月のメルマガ記事一覧】
「ツイッターとITバブルの今後」(2017年4月30日号、本稿)
株式投資のシグナルとしてのVVIX指数」(2017年4月23日号)
金融市場不安定化の新たなシグナル」(2017年4月16日号)
セブン&アイに見る、小売業のグローバル化」(2017年4月9日号)
国内株式市場の変化のシグナル」(2017年4月2日号)

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tag : ツイッター ITバブル 株式投資 フェイスブック 景気循環

株式投資のシグナルとしてのVVIX指数

株式市場の状況を占う指標として有名なのはVIX指数である。
アメリカの主要株価指数の1つであるS&P500指数のオプション取引のボラティリティ(変動率。厳密に言えば、価格の対数差分の標準偏差)を元にして、シカゴ・オプション取引所が算出している。
理論的には、今後30日間のS&P500指数のボラティリティの平均値の期待値と解釈されており、株式市場の不安定さの度合いを示す指標として取り上げられることが多い。

対して、VVIX指数というものがある。
VIX指数がS&P500指数のボラティリティ指標だとすれば、こちらはそのVIX指数自体のボラティリティ指標となるように算出されている。
では、このVVIX指数を株式投資のシグナルとして活用できないだろうか。

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金融市場不安定化の新たなシグナル

アメリカがシリアや北朝鮮に対して武力攻撃を辞さない姿勢を示したことで、米ロ、米中間の緊張関係が高まっている。
当選前には親ロ的な姿勢を見せていたトランプ米大統領も、今や米ロ関係をして「史上最低の関係かもしれない」と言い出す始末である。

他方でトランプ氏は、「時代遅れ」としていた当選前のNATOへの批判姿勢を修正するに至った。
先週会談したストルテンベルグNATO事務総長に対し、NATOへのアメリカの関与を確約する一方で、全加盟国が国防費をGDPの2%以上とする目標を達成すべきだとの認識で一致している。
まるで、2カ月前の拙稿「対ロ外交におけるトランプ政権の真意」(下記URL参照)で述べた構図が、現実のものになったかのようである。
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そんな折、金融市場の不安定さを象徴するかのような、あるシグナルが先週点灯した。
果たして、そこから何を読み取るべきだろうか。

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島倉原(しまくら はじめ)

Author:島倉原(しまくら はじめ)
 経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。経済理論学会および景気循環学会会員。
 メルマガ『島倉原の経済分析室』(毎週日曜日発行)や、メルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(隔週木曜日寄稿)の執筆を行っています。

著書『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論、2015年)

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